聖武天皇の天平年間(729〜749年)を中心にさかえた奈良時代の文化。
〔唐の影響を受けた仏教文化〕
唐(中国)の文化の
影響を強く受けた
貴族中心の
仏教文化で,インド・ペルシャ・アラビアなどの文化もとりいれられて,
国際性にとんでいる。
律令国家の
発展を
反映した
壮大・
華麗な文化で,
平城京を中心にさかえた。
〔文化の内容〕
(1)
建築…
校倉造り(三角形の
木材を組み合わせて
壁とした
建築方法)の
東大寺正倉院,
東大寺法華堂(
三月堂),
唐の
僧鑑真が開いた
唐招提寺の
金堂など。
(2)
美術…
彫刻では,
東大寺法華堂の
不空羂索観音像,
東大寺ミュージアムの
日光菩薩・
月光菩薩像,
東大寺戒壇院の
四天王像,
興福寺の
阿修羅像,
唐招提寺の
鑑真和上像など,絵画では,
薬師寺の「
吉祥天女画像」,
正倉院の「
鳥毛立女屏風」が有名で,
正倉院におさめられた
聖武天皇愛用の品々には,
唐やペルシャの流れをくむものがある。
(3)文学…漢詩文は
貴族の
教養とされ,
現存する
最古の漢詩集の『
懐風藻』がつくられた。
歴史書は
太安万侶が『
古事記』を,
舎人親王らが『
日本書紀』を
完成させた。国ごとに命じて,
諸国の
産物・
伝説などを書き出させた『
風土記』という
地誌もつくられた。また,『
万葉集』というわが国
最古の和歌集がつくられ,
天皇や
貴族ばかりでなく,
農民や
防人の歌まで,
約4500首がおさめられた。
コーチ
当時は
遣唐使などを通じて,
国際的な
唐の文化がさかんにもたらされた。