電気事業法にもとづいて,電気の供給不足が心配される場合に,経済産業大臣が電気を使用する対象者や対象地域を指定し,電気使用の制限を義務づける政令。法にもとづく電気使用制限等規則と経済産業大臣の告示をまとめて電力使用制限令とよんでいる。1974(昭和49)年,第1次石油ショックにともなう火力発電所の燃料不足が心配され,はじめて発動され,契約電力500kW以上の大口需要者に対して電力使用の15%削減を義務づけ,テレビの深夜放送なども休止された。そして2011(平成23)年7月,東日本大震災による福島第一原子力発電所事故,各地の原発・火力発電所の停止にともなう夏場の電力不足が心配され,東北・東京電力管内に37年ぶりに2回目の電力使用制限令が発動された。このときも500kW以上の大口需要者の電力使用15%削減が義務づけられたが,夏のピーク時の供給不足回避が目的のため,9月までの平日の9時から20時までの制限,企業間の電力融通などさまざまな細則が定められた。