ドイツ（連邦共和国）

ヨーロッパ州(しゅう）の中央部(ちゅうおうぶ）にある，北海(ほっかい）とバルト海(かい）に面(めん）する国(くに）。政治体制(せいじたいせい）は共和制(きょうわせい）で，元首(げんしゅ）は大統領(だいとうりょう）。首都(しゅと）：ベルリン，面積(めんせき）：35．7万(まん）km²（2015年），人口(じんこう）：8211万(まん）（2017年），言語(げんご）：ドイツ語(ご）（公用語(こうようご）），宗教(しゅうきょう）：キリスト教(きょう）（カトリック，プロテスタント）など，民族(みんぞく）：ドイツ人(じん）など。

〔自然(しぜん）のようす〕

地形(ちけい）は南(みなみ）から北(きた）に行(い）くにつれて，けわしいアルプス山脈(さんみゃく），低(ひく）くなだらかな山地(さんち），北(きた）ドイツ平原(へいげん）の順(じゅん）に低(ひく）くなる。西部(せいぶ）に国際河川(こくさいかせん）のライン川(がわ）が流(なが）れる。気候(きこう）は大部分(だいぶぶん）の地域(ちいき）が西岸海洋性気候(せいがんかいようせいきこう）に属(ぞく）し気温(きおん）の年較差(ねんかくさ）が少(すく）ないが，東部(とうぶ）では夏(なつ）と冬(ふゆ）の気温(きおん）の差(さ）がやや大(おお）きくなる。

〔あゆみ〕

ゲルマン民族(みんぞく）によって形成(けいせい）されてきた国(くに）で，8世紀以降(せいきいこう），フランク王国(おうこく）・神聖(しんせい）ローマ帝国(ていこく）を経(へ）て，1871（明治(めいじ）4）年にプロイセンを中心(ちゅうしん）にドイツ帝国(ていこく）が成立(せいりつ）した。第一次世界大戦(だいいちじせかいたいせん）後(ご）はワイマール共和国(きょうわこく）となったが，ナチスの台頭(たいとう）により崩壊(ほうかい）した。第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん）においてはナチス政権(せいけん）の下(もと），ヨーロッパ各国(かっこく）を占領(せんりょう）したが，アメリカ合衆国(がっしゅうこく）・ソ連(れん）・イギリスなどの連合国(れんごうこく）に破(やぶ）れ，戦後(せんご）は連合国(れんごうこく）の占領下(せんりょうか）に置(お）かれた。1949（昭和(しょうわ）24）年には，アメリカ合衆国(がっしゅうこく）・イギリス・フランスの占領地区(せんりょうちく）がドイツ連邦共和国(れんぽうきょうわこく）（西(にし）ドイツ），ソ連(れん）の占領地区(せんりょうちく）がドイツ民主共和国(みんしゅきょうわこく）（東(ひがし）ドイツ）となった。それ以来(いらい），西(にし）ドイツは資本主義(しほんしゅぎ），東(ひがし）ドイツは社会主義(しゃかいしゅぎ）の国(くに）づくりを進(すす）めてきた。1989（平成元(へいせいがん））年に東西(とうざい）ドイツ分断(ぶんだん）の象徴(しょうちょう）だったベルリンの壁(かべ）が崩壊(ほうかい）し，翌年(よくねん）に西(にし）ドイツが東(ひがし）ドイツを編入(へんにゅう）する形(かたち）で，ドイツの統一(とういつ）が実現(じつげん）した。

〔産業(さんぎょう）のようす〕

ルール炭田(たんでん）で産出(さんしゅつ）する石炭(せきたん）と輸入鉄鉱石(ゆにゅうてっこうせき）をもとにルール工業地域(こうぎょうちいき）が発展(はってん）し，世界有数(せかいゆうすう）の工業国(こうぎょうこく）となった。現在(げんざい）も工業生産額(こうぎょうせいさんがく）は世界有数(せかいゆうすう）である。自動車(じどうしゃ）・医薬品(いやくひん）の生産(せいさん）がさかんで，輸出(ゆしゅつ）も多(おお）い。高品質(こうひんしつ）なドイツ製(せい）のカメラは高級品(こうきゅうひん）として知(し）られる。工業(こうぎょう）とくらべると農業(のうぎょう）はそれほどさかんではないが，食料自給率(しょくりょうじきゅうりつ）は高(たか）い。小麦(こむぎ）・ライ麦(むぎ）・テンサイ・ジャガイモなどの生産(せいさん）が多(おお）く，混合農業(こんごうのうぎょう）が広(ひろ）く行(おこな）われている。

〔社会(しゃかい）のようす〕

工業(こうぎょう）が急成長(きゅうせいちょう）した1950年代(だい）から70年代(だい）にかけて労働力(ろうどうりょく）が不足(ふそく）したため，南(みなみ）ヨーロッパやトルコから多(おお）くの労働者(ろうどうしゃ）を受(う）け入(い）れた。その後(ご）も移民(いみん）や難民(なんみん）を積極的(せっきょくてき）に受(う）け入(い）れてきたため，総人口(そうじんこう）にしめる移民系(いみんけい）の人々(ひとびと）（移民(いみん）とその子孫(しそん））の割合(わりあい）は約(やく）20％に達(たっ）している（2015年現在(げんざい））。

〔環境問題(かんきょうもんだい）〕

工業(こうぎょう）の発展(はってん）にともない，大気汚染(たいきおせん）や酸性雨(さんせいう）の問題(もんだい）が深刻化(しんこくか）した。そのため，早(はや）くからリサイクルの徹底(てってい）などの対策(たいさく）を進(すす）め，現在(げんざい）は環境保護先進国(かんきょうほごせんしんこく）となった。

〔日本との関係(かんけい）〕

古(ふる）くから貿易(ぼうえき）が活発(かっぱつ）に行(おこな）われている。企業(きぎょう）の進出(しんしゅつ）もたがいに活発(かっぱつ）で，デュッセルドルフは日本企業(きぎょう）のヨーロッパ進出(しんしゅつ）の拠点(きょてん）の1つとなっている。

〔日本との貿易(ぼうえき）〕

ドイツから日本への輸出(ゆしゅつ）：乗用車(じょうようしゃ），医薬品(いやくひん），一般機械(いっぱんきかい）など。

ドイツの日本からの輸入(ゆにゅう）：電気機器(でんききき），一般機械(いっぱんきかい）など。（2015年）

〔国名(こくめい）の由来(ゆらい）〕

「民衆(みんしゅう）」を意味(いみ）するドイッチュによる。

〔国旗(こっき）の由来(ゆらい）〕

ナポレオン軍(ぐん）とたたかったプロイセン軍(ぐん）の「黒(くろ）い服(ふく），赤(あか）い肩章(けんしょう），黄色(きいろ）のボタン」という軍服(ぐんぷく）に由来(ゆらい）。ワイマール共和国(きょうわこく）から西(にし）ドイツ，現在(げんざい）のドイツへとひきつがれた。