アジア州の南東部をしめる地域。インドシナ半島,マレー半島と大小さまざまな島々からなる。タイ,カンボジア,ベトナム,ラオス,ミャンマー,マレーシア,シンガポール,ブルネイ,インドネシア,東ティモール,フィリピンからなる。
〔自然のようす〕
インドシナ
半島は
山がちな
地形だが,メコン
川やチャオプラヤ
川などの
大河が
流れ,その
流域に
平野を
形成する。インドネシア,フィリピンはアルプス=ヒマラヤ
造山帯と
環太平洋造山帯に
属するため,
火山活動や
地震が
多い。
気候はほとんどの
地域が
熱帯に
属し,インドシナ
半島はモンスーンの
影響を
受けて
雨季と
乾季に
分かれるが,
赤道周辺の
地域は
一年を
通じて
雨が
多い。
〔あゆみ〕
古くから,
中国・インド・イスラム
文化の
影響を
受けて,アユタヤ
朝・アンコール
朝・パガン
朝などさまざまな
王国・
王朝が
興亡した。16
世紀ごろからヨーロッパ
人の
進出が
活発になり,19
世紀にはタイ
以外の
地域はすべて
欧米諸国の
植民地下に
置かれた。
第二次世界大戦中は,
多くの
国が日本
軍に
占領されたが,
戦後は
次々と
独立した。1960
年代〜1970
年代には
冷戦の
影響を
受けてベトナム
戦争が
勃発し,
周辺国にも
戦火が
広がった。1967年には
政治的・
経済的な
協力体制を
強めるために
東南アジア
諸国連合(
ASEAN)を
設立し,1999年には
東ティモールをのぞく10か
国に
拡大した。
〔民族・宗教〕
東南アジアは,
元来が
多くの
民族の
複雑な
集まりである。そこへ
仏教・イスラム
教・キリスト
教などが
伝えられ,その
信仰が
人々の
生活の
規範になった。
欧米諸国による
植民地時代には,
欧米人が
経営するプランテーション(
大農場)や
鉱山の
労働力として
移民がやってきたため,
民族の
混合がいっそう
進んだ。
中国やインドからの
移民は
現地の
人々とは
別の
社会を
形成した。
中国からの
移民である
華人(
華僑)は
商業で
成功し,
居住する
国の
経済に
大きな
影響をもつ
人も
多い。
〔農業のようす〕
世界的な
米の
産地で,タイは
世界一,
二を
争う
米の
輸出国である。
稲作はおもに,インドシナ
半島では
大河の
下流域に
広がる
三角州(デルタ)で,
山がちなジャワ
島やルソン
島では
棚田で
行われている。かつては
人と
水牛で
農地を
耕し,
肥料やかんがい
設備も
不十分であったため,
単位面積あたりの
収穫量は
少なかったが,
緑の
革命後はかんがい
設備の
整備により
二期作ができるようになり,
米の
生産はしだいに
増加した。
植民地時代に
開かれたプランテーションでは,
天然ゴム,アブラヤシ,バナナ,コーヒーなど
輸出用の
作物が
栽培されている。タイやインドネシアのマングローブでは,日本へ
輸出するためにエビが
養殖されている。
〔工業のようす〕
スズ・
鉄鉱石・
石油・
石炭・
天然ガスなどの
鉱産資源をはじめ,
木材資源が
豊富であるが,
大部分は
輸出されている。シンガポールは1970年
代に
工業化が
急速に
進み,アジア
NIES(
新興工業経済地域)の
一員となった。1980年
代にはタイとマレーシアでも,
外国の
資金や
技術の
導入,
外国企業の
受け
入れなどにより,
工業が
発達した。
現在はインドネシア,フィリピンでも
工業化が
進んでいる。
〔日本との関係〕
日本にとって
東南アジアは,
中国・アメリカ
合衆国とならぶ
重要な
貿易相手地域で,おもに日本は
東南アジアから
工業原料や
食料を
輸入している。
東南アジアは
賃金が
安いため,
近年は
自動車会社をはじめとする
多くの日本
企業が
東南アジアへ
工場をうつしている。