〔位置とあゆみ〕
東北地方は,本州の北東部をしめ,青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島の6県に区分される。東北地方は,都から遠いことから独自の文化をきずき,生活をいとなんできた。江戸時代には,各藩が産業開発につとめたが,たびたびの冷害やききんによって農民のくらしは苦しく,産業の発展はおくれた。こうした状況は,明治時代になってもあまり変化はなかった。しかし,近年は東北自動車道や青函トンネルの開通,空港の開港など,交通機関が整備されて東京大都市圏とのむすびつきも強まり,仙台市を中枢として開発が本格化している。
〔自然のようす〕
(1)地形…東北地方を中央で二分して,
奥羽山脈が南北に走っている。これと平行して,西に
出羽山地,東に
北上高地・
阿武隈高地がならび,また,火山も多い。これらの山地の間に,
横手・
山形・
北上・
福島・
会津などの
盆地がある。
北上川・
阿武隈川・
最上川など
河川の下流
域には,
仙台・
庄内・
秋田・
津軽などの平野が広がっている。海岸線は,
岩手県の
三陸に
典型的なリアス海岸が見られるほかは,
比較的単調である。
(2)
気候…
奥羽山脈によって,日本海岸式
気候と太平洋岸式
気候に分けられる。太平洋
沿岸部では,寒流(
親潮)の
影響で夏に
冷たい「やませ」がふくことがある。「やませ」はしばしば
冷害をひきおこし,
農民の生活をおびやかしてきた。
〔産業のようす〕
(1)農業…東北地方は日本の
穀倉地帯である。
秋田・
庄内・
仙台などの平野はいずれも米の
単作地帯で,
東京や
大阪などの大都市へ出荷している。その
背景には,米の
品質改良による
冷害の
克服といった農家の
努力があるが,近年は
機械化による農家
経営の
圧迫,米の
生産調整や
輸入自由化の
圧力など,米作農家をめぐる
状況はきびしい。また,東北地方では
果樹栽培もさかんで,
津軽平野のリンゴ,
山形盆地のサクランボ・ブドウ,
福島盆地のモモ・ナシなどが中心である。
(2)
漁業…
三陸の
沖合いは
好漁場で,
沿岸には,
八戸・
久慈・
宮古・
気仙沼・
女川・
石巻など
設備のととのった
漁港が多いが,2011年3月におこった東北地方太平洋
沖地震にともなう
大津波で,
壊滅的な
被害を
受けた
漁港も多い。
(3)工業…
北上川
流域の
総合開発,
只見川
流域の
電源開発,さらには,
常磐郡山・
仙台湾・
八戸・
秋田湾などの新
産業都市を中心とする工業化が進められてきた。また,
各地では
伝統工業がさかんで,
会津塗,
宮城のこけし,
南部鉄器など全国に知られる
工芸品は多い。
コーチ
近年,高速道路ぞいや空港
周辺に電子
機器などの
先端産業の工場が進出している。