旧ソ連を構成していた15共和国のうち,バルト海沿岸のエストニア・ラトビア・リトアニア・ジョージアの4国をのぞく,11か国によって結成されたゆるやかな国家連合。経済や外交や防衛問題で協力する組織で,本部はベラルーシのミンスク。英語で,Commonwealth of Independent Statesと書き,略称CIS。
〔組織と加盟国〕
独立国家
共同体は,
共通の中央
機関をおかないのが
特色であり,
加盟国の
首脳によって年2回
以上開かれる
加盟国
首脳評議会と,
加盟国の
政府代表者が
参加する
加盟国首相
評議会を調整
機関としている。
国連の安全
保障理事会の
議席はロシア
連邦が
継承した。
コーチ
2012年2月
現在の正式な
加盟国はロシア・ベラルーシ・アルメニア・アゼルバイジャン・ウズベキスタン・タジキスタン・キルギス・カザフスタンの8か国で,ウクライナ・モルドバ・トルクメニスタンの3か国が事実上の
準加盟国である。
〔あゆみ〕
1980年代の後半から始まったソ
連の
改革政策は,国内の
民族運動を
刺激した。1991年に入り,1月はソ
連によるバルト3国の
軍事弾圧,8月はクーデターとはげしくゆれ動き,強力な
連邦権力は
崩壊して,9月にバルト3国が
独立。その後,のこる12
共和国も
独立を
宣言し,12月,ジョージアをのぞいた11か国によって
独立国家
共同体がつくられ,ソ
連が
消滅した。◇1993年にジョージアもくわわったが,ジョージア
紛争により2009年8月に
脱退。
〔軌道に乗れない改革〕
民族の対立,
生産の
低迷,
物資の
不足,インフレなどは,
独立国家
共同体すべての国に
共通する
困難な
課題である。とくに
共通の
経済政策が強くのぞまれているが,
各国の足なみはふぞろいである。ソ
連がのこした
遺産である
軍事力の
帰属や
核兵器の
管理などの調整も,
緊急に
解決がせまられているが,
各国の考え方は
流動的であり,いずれも
加盟国の合意が
得られていない。
旧ソ
連の
崩壊後,
異常な
経済危機をかかえて
指導力が
低下したロシアは,近年の石油や
天然ガスの
価格の
高騰を力に
勢力の
回復をはかっているが,いまだ
独立国家
共同体の足なみはそろってはいない。
〔かたよる産業〕
独立国家
共同体の
構成国のどの国も,
経済的な自立
能力はないといわれる。これは,
資源の
分布や
産業の
発達にかたよりがあるからである。ウクライナからカザフスタンにかけた
地域は
肥よくな黒土
地帯で,ウクライナは
旧ソ
連の
穀倉といわれ,小麦・トウモロコシ・テンサイなどの
生産が多い。中央アジアの国々は
綿花栽培が
重要産業。広大な国土をもつロシア
連邦は
資源大国で,石炭・石油・
鉄鉱石・
銅などの地下
資源を
産するほかに,広大な
針葉樹林帯(タイガ)もある。これらの
資源とむすびついて
発達した工業の
生産は
世界的であるが,重工業にかたよっていることが
欠点である。ウクライナも
鉄鉱石や石炭・電力などがゆたかで,
鉄鋼業・
機械工業がさかんである。中央アジアでは,
綿工業が
発達している。