県名の由来
長くつきだした岬ということから長崎の地名ができたといわれる。戦国時代末期以来さかえた貿易都市長崎が県庁所在地となり,県名も長崎となった。
県庁所在地
県の面積
県の人口
県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸品〕
○三川内焼 ○波佐見焼
〔祭り〕
○長崎くんち(長崎市,10月7〜9日)
位置・地形・気候
長崎県は九州地方の西部に位置し,日本で最も西にある県である。島原半島・長崎半島・西彼杵半島の3つの半島がつきでていて,海岸線は複雑で長い。また,壱岐・対馬・平戸島・五島列島をはじめ,島の数は600を数え,全国で最も多く,島の面積は約45%をしめる。そのうえ山地が多く,低地は全体の約8%にすぎない。
島原半島の中心には雲仙岳がそびえる。その主峰普賢岳は1990年,およそ200年ぶりに噴火を始め,4年近くの間,数千回も火砕流が発生して周辺に大きな被害をあたえた。
気候は,対馬海流の影響によって温暖で,雨が多い。五島列島にはヘゴやビロウなどの亜熱帯植物もしげっている。
歴史
昔は,現在の佐賀県とあわせて肥前国といった。アジア大陸に最も近く,古くから外来文化の窓口としての役割をはたしてきた。
長崎は,戦国時代の末期にポルトガルなどとの南蛮貿易の町として開かれ,江戸時代には,鎖国のもとで,外国に開かれた日本の窓口・貿易港として発展した。
江戸時代,長崎は幕府の直轄地だったが,明治になって,島原藩・大村藩などをあわせて長崎県が成立した。
明治以後,長崎県の産業をささえたのは炭鉱である。しかし,1960年前後,産業のエネルギー源が石炭から石油へかわり(エネルギー革命),炭鉱は次々に閉山に追いこまれた。
産業
平地が少ないので,農業は畑作が中心で,山の斜面ではミカンの生産がさかんである。また,五島列島などでは昔から肉用牛の飼育が行われ,長崎県の肉用牛の飼育数は全国でも上位にある。
九州西方は大陸棚が広がるたいへんよい漁場で,また,長崎県の海岸線は出入りがはげしく,魚のすみかとなる魚礁が多いなどの条件にめぐまれて,漁獲量が多い。深い入り江での真珠の養殖もたいへんさかんで,その生産量は全国の約3分の1をしめ,第2位である(2009年)。
一方,長崎市は古くから造船の町として知られ,大造船所を中心に多くの関連工場がある。そのほか電子工業が大村湾東部に,食料品工業が佐世保市・諫早市で見られる。
国際観光都市長崎
長崎県には,年間3000万人もの観光客がおとずれる。なかでも,日本が鎖国をしていた江戸時代に,日本でただ1つ外国に開かれた窓であった長崎市には,異国情緒ゆたかな史跡や名所,年中行事などが数多くあり,多くの観光客をひきつける。
市内には,出島のオランダ商館跡,幕末から明治初期にかけて活躍したイギリス商人グラバーの屋敷,唐人屋敷跡や中国寺,キリスト教関係の二十六聖人記念碑や,現存する日本で最も古い教会の大浦天主堂などがある。また,1945年8月には原子爆弾の惨禍を受け,10万人近くの市民が死亡したが,爆心地の浦上天主堂のあった近くにつくられた平和公園には,大きな平和祈念像がある。
さらに周辺には,雲仙・西海両国立公園をはじめ,鎖国前にポルトガル・スペイン・オランダなどの商館があった平戸,西海橋などの観光地があり,佐世保市にはオランダの町並みを再現したテーマパーク,ハウステンボスも誕生した。長崎は日本でも指折りの国際観光都市となっており,アジア諸国を中心に外国からの観光客も多い。