生態的地位。ある生物種が,食物連鎖のなかで占める地位と,生物群集のなかで占める生活空間の位置づけ。たとえば,同じ地域にすむ同じ肉食性のカマキリでもオオカマキリが草のなかにすみ,ハラビロカマキリは木の上にすむことで,ニッチは異なる。また,よく似た生活様式をもつヒメゾウリムシとゾウリムシを1つの容器で飼育すると,最初は両方ともさかんに増殖するが,やがて生活力・増殖力の旺盛なヒメゾウリムシがニッチを奪い,ゾウリムシのほうは消滅する。自然界では「あき」になったニッチに,他の生物種が入りこむことも多く,たとえば北海道ではシカやウサギの捕食者であったオオカミが絶滅したことによって,オオカミのニッチがあき,その生態的地位にイヌが入りこんだと考えられている。⇒食物連鎖