日本で行われるすべての音楽を総称していうが,ふつうせまい意味で日本の民族的な音楽である伝統音楽をさしている。邦楽ともいう。長い歴史を通じて多種多様の種目があるが,現在はまったく行われなくなったものもあり,今日,約20種目以上がのこされている。器楽よりも声楽が中心で,歌いものと語りものに分類され,前者に雅楽の歌いもの(催馬楽・朗詠など)・地歌・箏歌・長唄・荻江節・端唄・うた沢・小唄・民謡など,後者に浄瑠璃(義太夫・一中・河東・宮薗・新内・常磐津・富本・清元など)・平曲・謡曲・説経節・薩摩琵琶・筑前琵琶・浪曲などがある。また,両者の要素をもつものに声明があり,器楽には雅楽の管絃,箏曲の段物,尺八楽,下座音楽で唄のないもの,現代邦楽中の器楽などがふくめられる。