感染性の胃腸炎や食中毒を引き起こすウイルス。小型の球体をしており,小腸の粘膜で増殖する。感染者のふん便,おう吐物などに含まれる。感染力が非常に強く,学校や高齢者施設などで集団発生することがある。ウイルスで汚染された手で食事をした場合や,ウイルスに汚染されたカキやハマグリを生で食べたり,ウイルスの付いた食品を食べた場合にも感染する。1年を通じて発生するが,主に冬に流行する。感染した場合,潜伏期間は1〜2日で,発症すると食欲不振,腹痛,おう吐,下痢,発熱などを引き起こす。通常1〜3日で回復するが,抵抗力の弱い子どもや高齢者は重症化することがある。ワクチンはなく,食事前に石けんで手をよく洗うことや,食品によく火を通すことなどによって予防できる。◇1968年にアメリカのオハイオ州の小学校で集団発生したのが,最初の記録。◇かつては,小型球形ウイルスと呼ばれていたが,2002年の国際ウイルス学会で「ノロウイルス」と名付けられた。