中国の黄河流域の中原地方から戦乱を逃れてきて南部地方に定住した人びとをさす言葉。「よそ者」の意味がふくまれる。古くは後漢時代(1世紀〜3世紀)から移住がはじまったともされ,客家語には古代中国語の特徴がのこっているといわれる。土楼とよばれる円筒型の集団住居や食文化,衣服や祭祀などに独自の文化を保存し,福建,江西,広東省を中心に約7000万人を数え,台湾や海外への移民をあわせると人口は約1億2000万人。古代中国文明の直系という意識をもっているため,団結心に富み,共同体意識が強い。1つの民族集団といえるが,漢民族である。忍耐力,勇敢さが特徴といわれ,軍人や政治家として才能を発揮した人物も多く,孫文,鄧小平元主席,台湾の李登輝元総統,シンガポールのリー・クアンユー元首相などは客家の出身である。