光を当てることによって,その物質じたいは変化しないが,化学反応を促進させる(触媒としてはたらく)物質のこと。自然界では植物の光合成をになう葉緑素も光触媒であるが,とくに人工物質をさす言葉。現在,知られ,実用化されているのは酸化チタン(TiH2)。1972(昭和47)年,日本の本多健一と藤嶋昭によって,水中の酸化チタンを電極として紫外光を当てると酸化チタン電極から水素が,もう一方の電極から酸素が発生することが発見された(ホンダ・フジシマ効果)。これは水と光だけで水素と酸素を得られる夢のエネルギー循環と注目をあびた。ただし,原理が未解明の部分が多く,効率が低いことが,この分野での実用化を遅らせている。一方で光触媒としての酸化チタンの強い酸化還元作用,超親水性が知られるようになり,酸化チタンをコーティングして殺菌作用,水をはじき汚れのつかないセルフクリーニング作用をもたせた,ガラスやタイル・内装外壁材が実用化されている。⇒触媒