細菌性髄膜炎をひきおこす病原菌,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型の略称。インフルエンザの病原体のインフルエンザウイルスとはまったく別のものである。19世紀,まだウイルスじたいが知られていなかったころインフルエンザの原因菌として発見・分離されたもので,のちにインフルエンザウイルスの発見で誤りとわかったが,名称だけはそのまま残された。真生細菌のグラム陰性かん菌で,ヒトに感染して肺炎,敗血症,喉頭蓋炎などの感染症をひきおこす。とくに細菌性髄膜炎は重い症状をおこし,乳幼児が発症すると約5%が死亡,約25%が知能障害など重い後遺症をのこす。発症後の治療はむずかしく,予防のワクチンが有効である。◇Hibワクチンは日本では2008(平成20)年12月から有料の任意接種が可能になり,2011年12月には公費補助の対象となったため接種が急増した。12年3月,接種後の乳幼児の死亡例が報告されたため約1か月間,接種は見合わされた。⇒かん菌,ワクチン