ヨーロッパの騎士の剣技を競技化したスポーツで,2人の競技者が「突き」または「斬り」によって勝敗を争うもの。18世紀,ヨーロッパでは剣技が戦闘的な実用から貴族の教養の一部,競技となり,剣先にボタンを付けたりマスクの着用で安全化されてスポーツになった。1896年の第1回オリンピックから正式種目に採用されている。競技は,よくしなる軽い剣で胴(頭・両足・両手を除く)を「突き」のみで狙うフルーレ,かなり硬い剣で全身を「突き」のみで狙うエペ,上半身を「斬り」と「突き」(斬りが主体)で争うサーブルの3種目がある。試合は男女とも基本的に3分間(4分間の場合も)で,5本先取した方が勝ち。競技会などの決勝トーナメントでは3分の3回で9分間(3分ごとに1分間の休憩),15本先取で勝ちになる。各種目団体戦もあり,個人戦とは多少規定は異なる。現在,公式競技では,有効部位に剣先が接触し,一定の圧力がかかると通電によって判定が出る電気審判機が用いられている。◇1964年の東京オリンピックでは日本は男子団体のフルーレ4位入賞,2008年の北京オリンピックでは個人のフルーレで太田雄貴選手がオリンピックで日本人初のメダルとなる銀メダルを獲得している。