2011年3月11日に福島第一原子力発電所でおこった原子力事故。
発生
2011年3月11日,東北地方太平洋沖地震とそれにともなう巨大津波が発生した(東日本大震災)。これによって,福島第一原子力発電所の電源が失われて,核燃料棒を冷却する装置が作動しなくなった。この結果,核燃料棒が溶ける炉心溶融(メルトダウン)がおこって水素爆発が発生した。この事故によって,大量の放射性物質が大気中に放出された。国の原子力安全・保安院はこの事故の危険度を過去最悪のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故と並ぶ「レベル7」とした。この事故を受けて政府は,30〜40年かけて福島第一原発を廃炉にすることを決定した。
影響
東北地方と関東地方の各県では,平常よりも高い放射性物質が観測された。政府は原発周辺を避難区域に指定し,住民を県内の他の市町村と他の都道府県に避難させた。その後,多くの地域で避難区域の指定が解除されたが,原発に近い地域では解除されていない(2017年現在)。事故直後は福島県産の一部の農畜産物や水産物から基準値を超える放射性物質が検出され出荷が中止された。さらに,基準値を超えていない安全な農畜産物や水産物も風評被害によって売り上げが落ちるなど,農畜産業と水産業に大きな打撃をあたえた。