ウイルスによって豚から豚に感染するインフルエンザ。ヒトへも感染するが発症することはまれで,遺伝子突然変異をおこし,ヒトへの感染・発症,ヒトからヒトへの感染が確認されるようになったものは「新型インフルエンザ」とよばれる。インフルエンザウイルス(A型)は,ウイルス表面のたんぱく質の赤血球凝集素(H)とノイラミニターゼたんぱく(N)の形によって,H○N○型という亜型に分類されるが,豚インフルエンザはH1型,H3型が多い。日本でも1977(昭和52)年にH1N1型,78年にH1N2型の豚インフルエンザウイルスが確認されているが,ヒトへの感染はおこしていない。2009年,メキシコで最初に確認され,豚インフルエンザから新型インフルエンザに変異して世界に広まったものはH1N1型だが,ヒトから豚,鳥から豚へ感染した複数のインフルエンザウイルスが豚の体内で突然変異をおこしたものと推定されている。鳥インフルエンザの変異した新型インフルエンザ(おもにH5型,H7型)より重症化はしないとされているが,今後さらに変異をおこして病原性の強いものになる可能性が心配されている。◇1918〜19年に世界中で流行し,死者2000〜5000万人を数えたスペインかぜはH1N1型インフルエンザであるが,鳥インフルエンザに由来するものらしい。⇒インフルエンザ ⇒鳥インフルエンザ