南アメリカ州の東部にある,大西洋に面する国。面積は日本の約23倍ある。政治体制は共和制で,元首は大統領。首都:ブラジリア,面積:851.6万km2(2015年),人口:2億929万(2017年),言語:ポルトガル語(公用語),先住民の言語,宗教:キリスト教(カトリック,プロテスタント),民族:ヨーロッパ系(白人),ムラート,メスチソ(メスチーソ),アフリカ系(黒人)など。
自然のようす
地形は大きく北部のアマゾン盆地と東部のブラジル高原に分かれる。アマゾン盆地の水を集めるアマゾン川は,流域面積が世界最大。北部を赤道が通る。アマゾン川流域の大部分は熱帯の熱帯雨林気候に属し,「セルバ」とよばれる熱帯雨林におおわれている。ブラジル高原は熱帯のサバナ気候に属し,「カンポ」とよばれる草原が広がる。南東部の海岸部は温帯に属しており,人口が集中し,都市が多い。
あゆみ
1500年にポルトガル人のカブラルが到達して,南アメリカ大陸で唯一のポルトガルの植民地となった。19世紀初期に,ポルトガル王家が,ナポレオンの攻撃からのがれるためにブラジルにわたったが,戦後も王子がのこり,1822年に独立した。1889(明治22)年には革命がおこり,共和国となった。
産業のようす
農業は長い間,サトウキビ,天然ゴム,コーヒー栽培が中心であったが,多角化が進み,現在はダイズ,米,小麦,トウモロコシ,綿花,カカオなどの栽培もさかん。コーヒー,トウモコロシ,ダイズと,サトウキビを原料にした砂糖の輸出量は世界有数。鉄鉱石,マンガン,石炭など鉱産資源が豊富で,鉄鉱石はイタビラ鉄山やカラジャス鉄山で産出される。これらの資源を利用した鉄鋼業や,自動車・航空機工業などが急速に発展して,ラテンアメリカ最大の工業国となり,BRICsの一国に数えられている。
環境問題
1970(昭和45)年からアマゾン横断道路の建設や,将来性が期待される資源の大規模な探査が開始された。森林を伐採して,農場や牧場が開発され,鉄鉱石など鉱産資源の採掘や水力発電所の建設も進んでいる。これらの事業で,広大な熱帯雨林が急速に減少していて,アマゾンの熱帯雨林がなくなると,世界の気候も大きくかわると予想される。サトウキビを原料にしたバイオエタノールの生産がさかんで,自動車の燃料として利用している。
日本との関係
1908(明治41)年に日本人のブラジル移住が始まって以来,多くの日本人がブラジルに渡った。現在は約150万人の日系人がブラジルに住んでいる。なかには大農園の経営者や政治家・弁護士・実業家として,高い社会的地位を得ている人もいる。近年は工業や資源・農業開発などのための,日本からの資金・技術協力や企業進出も目だつ。
日本との貿易
ブラジルから日本への輸出:鉄鉱石,鶏肉,コーヒー豆など。
ブラジルの日本からの輸入:一般機械,自動車部品,電気機器など。(2015年)
国名の由来
ポルトガル語で「赤い」の意味。赤色染料の原料「パウ=ブラジル」の木を多く産出したことにちなむ。
国旗の由来
緑は農業,黄色は鉱物を表し,中央の国章は南十字星を中心に27の星からなり,首都ブラジリアと州の数を表す。