ヨーロッパ州の西部にある,大西洋・イギリス海峡・地中海に面する国。ヨーロッパ連合(EU)の中心国の1つ。政治体制は共和制で,元首は大統領。首都:パリ,面積:55.2万km2(2015年),人口:6498万(2017年),言語:フランス語(公用語),プロバンス語など,宗教:キリスト教(カトリック)など,民族:フランス人。
自然のようす
東部と南部には,アルプス山脈・サントラル高地・ピレネー山脈などの山地・高地があり,北部と西部にフランス平原が広がる。気候は大部分が西岸海洋性気候に属し,地中海沿岸が地中海性気候に属する。
あゆみ
5世紀末にフランク人が王国をつくったが,9世紀には3つに分かれ,その後も王朝の交代や分裂の歴史が長くつづいた。この間に,ベルサイユ宮殿をつくったルイ14世がヨーロッパに権力をふるった時代(1661〜1715年)もあったが,1789年にフランス革命がおこって,王政から共和政になった。以後,ナポレオン1世の帝政時代などもあり,政治のしくみは複雑にかわったが,18世紀から20世紀初期までのフランスは,海外に植民地を獲得するなどして,政治や文化のうえで世界の大国となった。
産業のようす
フランスはEUはもちろん西ヨーロッパでも最大の農業国で,EU諸国への食料の大供給地となっている。北部の低地は機械化された大規模経営が多く,小麦・大麦・テンサイなどを生産し,地中海沿岸では果実・野菜・花などが栽培される。小麦の輸出量は世界有数。全国的にブドウの生産がさかんで,ワインは重要な輸出品の1つ。牧畜もさかんで,乳製品の生産も多い。工業生産額はヨーロッパ有数。東部で鉄鉱石と石炭を産するが,鉱産資源は比較的少ない。パリの総合工業地域をはじめ,北部で繊維工業,東部で鉄鋼業が古くから発達したが,近年は輸入原料の利用がふえ,マルセイユやドーバー海峡沿岸などの臨海地域に重化学工業が発達している。
芸術・文化の国
フランスには数多くの文化遺産が残っている。首都パリには,ルーブル美術館・エッフェル塔・凱旋門・ノートルダム大聖堂など芸術的に価値ある建物や美術品が豊富であり,観光や絵画・服飾の勉強におとずれる外国人が多い。
日本との関係
日本とフランスの貿易は,ヨーロッパ諸国の中ではドイツ・イギリスと並んで多いが,むしろ文化や人の交流に特色がある。1953(昭和28)年に日仏文化協定がむすばれて,これまでに,多くの研究者・教師・学生・芸術家などの交換が行われてきた。
日本との貿易
フランスから日本への輸出:医薬品,一般機械など。
フランスの日本からの輸入:一般機械,化学製品,乗用車など。(2015年)
国名の由来
5世紀末にゲルマン系フランク族がフランク王国を建設したことによる。
国旗の由来
フランス革命軍が帽子につけた色による。赤と青はパリの色,白はブルボン王家の色といわれた。青は自由,白は平等,赤は博愛をあらわす。