流体内にある物体が受ける鉛直上向きの力。浮力は,物体にはたらく流体の圧力の合力としてあらわれ,この圧力は物体の面に垂直に作用するため,各圧力の合力は重力と逆向きになる。浮力の大きさは,物体がおしのけた流体と同体積の流体の重さに等しい。これをアルキメデスの原理という。
コーチ
水の
密度を1000kg/m
3(1g/cm
3)とすると,水中の
V m
3の物体の
浮力は
約9800
V N(ニュートン)である。
浮力の生じるわけ
水中に直方体を入れたとする。直方体はあらゆる向きから水圧を受ける。同じ深さでは圧力は等しいので,直方体の側面にはたらく水圧は,側面全体でつり合う。上面の水深をd1m,下面の水深をd2m,面積をS m2とすると,上面が水から受ける力は9800d1S N,下面が水から受ける力は9800d2S Nとなる。直方体の高さをh mとすると,直方体が水から受ける力は上向きに,9800(d2–d1)S = 9800hS である。物体の形が直方体でない場合も同様である。hS は物体の体積であるから,浮力は,物体がおしのけた水の重さに等しい力を,上向きに生じることになる。