鎌倉時代初期の軍記物語。軍記物語中の最高の傑作で,平家一門の栄華から滅亡にいたる約70年間の運命を主題にして,源平が相あらそう治承・寿永(1177〜1185年)前後の戦乱時代のありさまをえがいている。たたかう者の雄々しさとほろびゆく者の哀切さを織りまぜた物語は,語り物として琵琶法師によってつたえられ,武士や庶民に親しまれた。◇「祇園精舎の鐘の声,諸行無常の響あり」という冒頭の句は有名。
コーチ
作者にはいろいろな
説があるが,『
徒然草』には
信濃前司行長がつくり,
生仏という
盲目の
琵琶法師に語らせたとも書かれている。原作は3
巻とみられるが,
現在つたえられているものは12
巻に
灌頂巻(
平家滅亡後,
京都大原の里に
隠世した
安徳天皇の生母
建礼門院の消息をつたえた
巻)をそえた13
巻。