集団的な暴力行為や威嚇によって金銭をおどし取り,賭博,詐欺,裏金融,覚醒剤や拳銃の密輸・売買,人身売買などの犯罪行為を資金源にして,みずからの組織を拡大させようとする反社会的な集団・組織。もともとはその土地に縄張りをもち,土地内のいざこざや外部からの侵入者や不当な介入を実力や威圧によって解決する組織として,その土地の商家や興業者も一定の見返りの金銭を出す,一種の自警的な組織でもあった。昭和時代,とくに終戦後になって地場の「地回り」的な集団が,縄張り・勢力をひたすら拡大しようとする組織に変貌し,小さな組織を傘下に入れたり,組織同士の抗争による吸収・支配などによって大きな集団にふくれあがり,地方ブロックを広域的に縄張りとする「暴力団」となっていったとみられる。広域的な大暴力団の系統には多数の傘下の小暴力団があり,それぞれの組織は組長(会長)をトップに厳然とした組員(構成員)の階級組織で,かつての「やくざ」時代の古い血縁的な人間関係を色濃く残している。犯罪行為の温床となっていることにくわえ,暴力団同士また組織内の抗争によって一般人もまきぞえの危険にさらされることもあり,警察・公安委員会は1992(平成4)年に施行された暴力団対策法によって監視・規制の目を光らせている。◇地回り・やくざの時代から地域の祭事・興業のとりしきりに関わってきたため,現在でも興業の世界では暴力団との関係をなかなか断ち切れずにいる現状がある。