まおう【魔王】 シューベルト作曲の歌曲。1815年作。ゲーテの詩による劇的(げきてき)な物語ふうの独唱(どくしょう)曲で,あらしの夜熱病(ねつびょう)におかされた子どもを腕(うで)にかかえた父親が,馬をかって家に急ぐ途中(とちゅう),魔王(まおう)が子どもの魂(たましい)をうばおうと誘惑(ゆうわく)するという内容(ないよう)。◇馬のひづめのリズムを三連符(さんれんぷ)で終始表現(ひょうげん)し,また低音(ていおん)はあらしの不気味(ぶきみ)な感じを表すなど,歌と伴奏(ばんそう)の融合(ゆうごう)がすばらしく,声の技巧(ぎこう)や表現(ひょうげん)力がないと,歌うのはむずかしいとされている。