(1931〜2010)昭和・平成時代の小説家。青森県に生まれる。姉の自殺,長兄の失踪など複雑な家庭環境のなかで育つ。東京に出て早稲田大学に入学するが,次兄の失踪により帰郷,故郷で中学教師になる。1953(昭和28)年,再び上京し,早稲田大学に再入学,同人雑誌に小説を書きはじめる。卒業後,雑誌編集の仕事をしながら小説を発表し,61年,『忍ぶ川』で芥川賞を受賞。自分の家族の暗い血筋を描く私小説を書く一方で,師事した井伏鱒二にも通じる,繊細で叙情的な文体をもつ作家として高い評価を受ける。代表作に『少年讃歌』『白夜を旅する人々』『拳銃と十五の短篇』など,劇でも知られる児童文学『ユタとふしぎな仲間たち』もある。