●県名の由来
神武天皇の宮居,または奈古神社の前に広がる地,宮前が転化して宮崎となったといわれている。この宮崎郡に県庁がおかれたのが,県名のおこりである。
●県庁所在地 宮崎市
●県の面積 7736km2
●県の人口 114万人
●県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸品〕 ○本場大島つむぎ
〔祭り〕 ○高千穂夜神楽(高千穂町,11月22日〜2月)
●位置・地形・気候
宮崎県は九州の南東部に位置し,東は日向灘(太平洋)に面している。北部と西部には九州山地がそびえ,南西には霧島火山帯があって,鹿児島県との境をつくる。
これらの山地が県の面積の約80%をしめ,平地は,県の中部から南部にかけての日向灘ぞいに広がる宮崎平野と,南西部の内陸部にある小林盆地と都城盆地くらいである。
五ヶ瀬川・一ツ瀬川・大淀川など,川は西の山地から東に流れ,日向灘に注ぐ。
気候は,黒潮の影響を受けて温暖で,年間を通して日照時間も長い。南部の日南海岸では,バナナ・ソテツなどの亜熱帯植物がしげっている。
●歴史
宮崎県は,古代にはヒムカの国とよばれていた。東に向かって開け,海からのぼる太陽を受ける意味で,そこから日向国となったといわれる。日本の国づくりの神話が多く伝わる地域で,西都市には,5〜6世紀ごろの330もの西都原古墳群がある。
平安時代には,現在の大分県にある宇佐神宮領が多かったが,鎌倉時代に島津氏が守護となり,室町時代には南部に伊東氏が勢力をふるった。江戸時代にはいくつもの小藩と幕府の直轄領に分けられた。
明治の初めの廃藩置県で宮崎県が誕生,一時鹿児島県に併合されたが,1883(明治16)年に分離して,現在の宮崎県が成立した。
●産業
宮崎県の第1次産業に従事する人口の割合は約12%(2010年)で,九州地方で最も割合が大きく,農業県の性格が強い。
宮崎県の農業生産額は全国5位で,九州では,鹿児島県につぐ(2009年)。農業の中心は,宮崎平野での野菜の施設栽培と,都城盆地やえびの高原での畜産である。
宮崎県の肉用牛の飼育数は,北海道,鹿児島についで全国3位,豚とブロイラーも,鹿児島についで全国2位であり,鹿児島とならぶ畜産県となっている(ブロイラー2009年ほか2011年)。畜産の生産額は農業生産額の半分以上をしめる。
工業は,化学工業が延岡市で,食料品工業が日向市でさかんである。近年,IC工場が日向市や宮崎市に進出し,その生産額もふえてきた。
■促成栽培の先進地宮崎県
新鮮さをもとめられる野菜は,もともと消費地の近くで生産されていた。また,以前は,寒い冬につくることのできる野菜はかぎられていた。しかし,1970(昭和45)年ごろからの高速道路の整備や長距離フェリーの就航は,野菜の長距離輸送を可能にし,冬もあたたかい宮崎県では,野菜の促成栽培が急速に広まっていった。
最初は,野菜栽培は,台風の被害をさけるために早づくりされた米の裏作として行われたが,輸送条件がととのうにつれて,ビニルハウスなどの施設がどんどんふやされ,真冬には,ハウス内を暖房して栽培されるようになった。
こうして,宮崎県は夏野菜を冬につくって出荷する促成栽培の代表的な産地となった。おもなものはピーマン・キュウリ・トマトなどで,11月ごろから5月ごろまで出荷する。出荷先は,京阪神や京浜地方をはじめ全国各地におよび,遠く北海道にも送られている。現在,宮崎県のキュウリの生産量は全国で第1位,ピーマンも第2位である(2010年)。