(978?〜1014?)『源氏物語』を書いた平安時代の作家・歌人。藤原為時の娘。式部の家は,代々すぐれた歌人や学者を出している家系で,かの女も,小さいときから学問をこのみ,和歌・音楽・仏典などの教養を身につけた。22歳のころ,藤原宣孝の妻となり1女をもうけるが,間もなく宣孝が急死。夫をうしなった悲しみをのりこえて,式部が『源氏物語』を書きはじめたのは,このころといわれている。その後,1005年に一条天皇の中宮(皇后)彰子に仕えながら『源氏物語』を書きすすめ,1007年か1008年ころ完成したといわれている。◇式部にはほかに,宮仕えのようすを書きとめた『紫式部日記』と,和歌をまとめた『紫式部集』がある。
コーチ
紫式部というのは実名ではなく,
彼女の父や兄が
式部省の役人であったことと,『
源氏物語』に登場する「
紫の
上」の名から,当時の人々がつけたよび名だといわれている。