(1917〜2012)昭和・平成時代の女優。新派の女形俳優山田九州男の子として大阪府で生まれる。10歳で三味線の清元の名取となり,13歳で映画界にデビュー。1934(昭和9)年,溝口健二監督の『浪華悲歌』『祇園の姉妹』で好演,可憐な娘役で大人気を得る。その後は長谷川一夫共演の『鶴八鶴次郎』『婦系図』,『流れる』『蜘蛛巣城』などに出演,各種映画賞で主演女優賞に輝いた。1960年代からは活動の中心を商業演劇に移し,舞台でも活躍。「たぬき」「しぐれ茶屋おりく」など女芸人の生涯を三味線などの芸を交じえて華やかに演じ,芸術祭大賞受賞など高い評価をうけた。テレビ出演も多い。水谷八重子(初代),杉村春子とともに「昭和の三大女優」ともいわれた。2000(平成12)年には女優ではじめての文化勲章を受章している。2002年に体調不良を訴えてからは長く療養中であった。