冬の南の地平線近くに見える星座。もとは「アルゴ船」という巨大な船を表す星座だったが,現在では「とも座」「ほ座」「らしんばん座」「りゅうこつ座」という船の各部分を表す名前がついた4つの星座に分けられている。りゅうこつ座のりゅうこつとは,船底の中心を船首から船尾まで貫く,背骨にあたる役割をする重要な部材。日本からはこの星座の北端がかろうじて見える。α星はカノープスとよばれ,実視等級-0.7等,距離310光年で,シリウス(おおいぬ座のα星)についで全天第2番目に明るい。中国では「南極老人星」とよび,見ることができれば長生きができるおめでたい星とされてきた。◇η星は不規則変光星である。近くに散光星雲NGC3372があり,イータカリーナ星雲として有名である。
〔星座の探し方〕
1月中旬の0時ごろ,2月中旬の22時ごろ,3月中旬の20時ごろに,大きな船の星座であるアルゴ船が南の地平線上に見える。りゅうこつ座は上部(北側)が少し見える。カノープスは,日本では東北地方の中部以南の地域で見ることができる。
〔星座に関する神話〕
この船は,イオルコス国のヤーソン王子が船大工の名人アルゴスに造らせたもので,アルゴ号と名づけた。50人でこぐ大きな船で,王子はギリシャの若い勇士50人によびかけ,自分が隊長となり船出していった。ヤーソンが船出していったのは,ずるがしこいおじのペーリアスに奪われていた王位を返してもらうためであったが,その条件がコルキス国が宝物にしている牡羊の金毛の皮ごろもを取り返してくることだった。ヤーソン王子はさまざまな大冒険の後,金毛の牡羊の皮ごろもを見事に手に入れ,イオルコス国に戻ってきたといわれる。