光の波を発生,または同期的に増幅する装置の一種。光メーザーともいう。laserはlight amplification by stimulated emission of radiation(誘導放出による光増幅)の略語。
〔レーザー光の発生〕
なんらかの原因でエネルギーがあたえられ,高いエネルギー状態にある原子は,不安定でもとのエネルギーの低い状態にもどろうとする。このとき特定の振動数の光を発する。これを自然放射という。自然放射をおこす原子を容器に入れ,放電管を点灯させると,低いエネルギー状態の原子より高いエネルギー状態の原子が多い状態になる。このことをポンピングという。ポンピングにより高いエネルギーの状態になった一部の原子が自然放射により光を放射する。この光がまわりの高いエネルギー状態の原子に作用して誘導放射を次々とおこさせ,強い光となる。光の増幅がある程度進み強度が大きくなると光は鏡を透過して容器の外に出ていく。これがレーザーである。
〔固体レーザー〕
レーザー作用を行う原子を透明固体の中にうめこんだものが固体レーザーであり,その代表的なものがルビーレーザーである。酸化アルミニウムにクロムを少し入れた結晶をつくり,クロム原子をポンピングすると,694.3nm(ナノメートル)の赤いレーザー光が発生する。
コーチ
このほか,ガスレーザーや半導体レーザーがある。
〔レーザー光の特徴〕
自然光はいろいろな波長の光をふくんでいるが,レーザー光は同じ方向に進む単波長の光なので,物性の分光学的研究,光レーダー,距離・位置の精密測定,超高密度通信,さらに工業や医学など多方面で利用されている。