原子炉の圧力容器内に収められた核燃料棒が集まった部分を「炉心」とよび,この部分が高熱のため溶けだすことを炉心溶融という。メルトダウン。核燃料は原子炉が運転停止しても放射性物質の崩壊で熱を発生しつづけており,安定するまで冷却を続けなければならない。この冷却系が失われると温度は上がりつづけ,約1200℃で燃料棒をおおう燃料被覆管の合金が化学反応によって発熱しだし,約1800℃で被覆管が溶けだし,約2800℃に達すると燃料棒じたいが溶けはじめることになる。溶けた燃料は高温で強い放射線を出しているためたいへんあつかいにくく,そのまま事態が進行すると,圧力容器の底の制御棒や計器を貫通させている弱い部分から外にもれだすというきわめて深刻な状況になる。