県名の由来:江戸時代以来の城下町の名をとった。和歌山城築城のときに,古くからの名勝地「和歌浦」に対比して「和歌山」とつけられたといわれる。
県庁所在地
県の人口
県の代表的な伝統工芸品と祭り
伝統工芸品
○紀州漆器 ○紀州だんす
祭り
○那智の火祭り(那智勝浦町,7月14日)
位置・地形・気候
和歌山県は紀伊半島の南西部に位置し,太平洋に面している。
北に和泉山脈があり,大阪府との境をなす。和泉山脈の南ろくを紀ノ川が西へ流れ,下流に和歌山平野をつくる。高さ1000m前後の紀伊山地が県のほとんど全域をおおい,平地は少ない。東部には熊野川が南に流れ,三重県との境をなす。長さ600kmにおよぶ海岸線は,複雑なリアス海岸で,景観にすぐれ,天然の良港が多い。
気候は,北部の紀ノ川ぞいは温暖で雨の少ない瀬戸内の気候である。中部と南部は温暖多雨の太平洋側の気候で,とくに南東部は日本で最も雨の多い地域の1つである。
歴史
昔は紀伊国といった。平安時代から戦国時代には高野山と熊野三山(本宮・新宮・那智)が人々の信仰を集め,高野もうでや熊野もうでがさかんに行われた。
戦国時代には,根来寺や雑賀衆が多くの領地をもち,強力な武装集団を形成したが,豊臣秀吉に平定された。江戸時代には,徳川氏がおさめる紀伊藩となり,城下町和歌山が発展し,産業もさかんになった。太地の捕鯨業がさかえたのもこの時代である。
明治になって,廃藩置県で和歌山・田辺・新宮の3県がおかれたが,すぐに統合され,現在の和歌山県が成立した。
産業
平地が少ないので,稲作はさかんでなく,温暖な気候と斜面を利用した果樹栽培が農業の中心である。とくにミカンは古くからの産地で,その生産量は全国の約19%をしめ,第1位(2010年)。ハッサク・カキ・ウメ・ネーブルオレンジ・イヨカン・スモモも全国有数の生産をあげている。
林業は,昔は「木の国」といわれたほどさかんだったが,輸入材におされてふるわない。水産業はさかんで,勝浦はマグロ漁の基地,串本ではタイなどの養殖がさかんである。
工業は,和歌山市から有田市にかけての紀北臨海工業地域を中心に,鉄鋼・化学・石油精製などがさかんである。近年は,内陸部にも工業団地の形成がめだっている。
高野山や熊野三山などをおとずれる観光客は年間約3000万人,観光業も重要。
■400年以上の歴史をもつミカン栽培
和歌山のミカン栽培は,戦国時代末期に有田地方で始まったといわれる。江戸時代になると,藩が,傾斜地が多いこの地方でのミカン栽培を強く奨励したことによって,栽培が広がり,江戸にまで大量に出荷されるほどになった。
いまでは,愛媛県や静岡県とならんで九州各県もミカンの大産地となり,産地間の競争がはげしい。
現在も,ミカンの主要栽培地域は有田川流域で,有田市の農地のほとんどはミカン園である。有田ミカンはとくに品質のよさで知られ,高い値段で取り引きされる。出荷先は距離的に近い関西地方が中心である。いまでは,光センサーでミカンの選別をするところも多い。
近年,北の紀ノ川流域や南の日高地方では,ミカンよりも,ハッサク・ネーブルオレンジ・イヨカン・キウイフルーツなどの栽培がふえた。