わさん【和算】 中国からつたわった数学をもとにして,日本で江戸(えど)時代に発達(はったつ)した独特(どくとく)の数学。初期(しょき)のものにそろばん算法(さんぽう)や日用算として,毛利重能(もうりしげよし)の『割算書(わりざんしょ)』,吉田光由(よしだみつよし)の『塵劫記(じんこうき)』などがある。関孝和(せきたかかず)の『発微算法(はつびさんぽう)』にいたって和算は画期的(かっきてき)な飛躍(ひやく)をとげ,門弟に建部賢弘(たけべかたひろ)や荒木村英(あらきむらひで)らが出て,「点ざん術(じゅつ)」や微積分(びせきぶん)に相当する「円理」など,当時の西洋数学に匹敵(ひってき)する高度な内容(ないよう)にまで高められた。明治(めいじ)時代以後(いご),西洋数学の移入(いにゅう)にともなってしだいにおとろえた。