夏の南天に見える星座。夏の天の川のそばにある有名な星座で,つばさを広げて砂漠の上空を舞うワシの姿に見立てたものである。α星は「飛ぶワシ」を意味するアルタイルとよばれ,実視等級は0.8等。七夕の牽牛星として,こと座の織女星(ベガ)とともに名高い夏の代表的な星である。1918年7月にこの星座に出現した新星は,極大光度-1.4等に達した。
コーチ
わし座のアルタイルとこと座のベガとの距離は,15光年もある。
【星座の探し方】
7月中旬の0時ごろ,8月中旬の22時ごろ,9中旬の20時ごろに,ほぼ南の高い空に見える。ベガのあること座よりは南寄りでななめ下に見える。
【星座に関する神話】
みずがめ座で登場する美少年ガニメデスが関係する。ガニメデスがお気に入りだった大神ゼウスは,ある日,大きな黒ワシに変身してガニメデスをさらい,オリンポス山の山頂に舞い降りた。自分のそばにいるように申し入れを受けたガニメデスは断ることもできず,酒宴で神々にお酒をつぐなどして過ごしたとされる。また,わし座のアルタイルとこと座のベガについては中国の「七夕伝説」がよく知られている。牛飼いの牽牛星(アルタイル)と機織りの織女星(ベガ)はたいへん働き者で,天の川の両岸に住んでいた。しかし,夫婦となって新婚生活に入ると,遊び暮らすようになってしまう。そこで,怒った神様の天帝が,2人をもとのように天の川の両岸に引き離してしまった。ただし,1年に一度,7月7日の七夕の夜にだけ,天の川を渡って会えるようにした,という話である。