「地球防衛隊SDGs」第39話解説編「インフラを整備することで、国が豊かになる?」
ちょっとむずかしそうだけど、
「インフラ」がテーマのまんが第39話はコチラ!
生活 上 の不便 だけじゃない。児童 労働 や貧困 のもとになる「インフラの未 整備 」
ねえ、スモール。
インターネットを一度も使ったことがない人が、世界に29億人くらいいるって聞いて(※)びっくりしたよ! ママは最近、インターネットを使って買い物をしているみたいなんだ。「もし今、インターネットにつながらなくなったらどうする?」って聞いてみたら、「困る! 生活ができなくなっちゃう!」って言ってた。
※参照:国際電気通信連合(ITU)「Measuring digital development: Facts and figures 2021」
ママの気持ちはわかるよ。今やインターネットは、生活に欠かせないからね。
あ、それ「インフラ」だね!
そうそう。どれも、空たちの生活には当たり前にあるものばかりだよね?
でも、途上国ではまだインフラが整備されていない地域があるんだ。
インフラに問題を抱えている人たちがどれくらいいるのか、数字で見てみよう。
【インフラ未整備の問題】
・安全に管理された飲料水サービスを利用できない人…10人に3人
・安全に管理された衛生施設を利用できない人…10人に6人
・現代的な電力を利用できない人…10人に1人
・まだ5,700万人の子どもが学校に通えていない。(学校に通えていない子どもの半数以上は、サハラ以南のアフリカで暮らしている)
・多くのアフリカ諸国では、インフラの未整備により、企業の生産性が約40%損なわれている。
※参照:国際連合広報センター(2018)「持続可能な開発目標(SDGs)――事実と数字」
う~ん…。数字で見ても、わかるような、わからないような…。安全な水道水、衛生的なトイレ、電気、学校。どれも生活に欠かせないのはわかるんだけど、それがない生活が想像できないっていうか…。
じゃあ、こんなふうに具体的に想像してみよう。
寒い日に、空があたたかい部屋でスープを食べようと思ったら、どんなことが必要かな?
部屋の暖房のスイッチを入れて、コンロに火をつけて、スープをあたためて食べる!
そうだね。じゃあ、もし空の家に、電気やガスが通っていなかったとしたら? 世界では約30億人が、薪、石炭、木炭、または動物の排せつ物を、調理や暖房に用いているといわれている。
その場合、部屋をあたためたり、火をつけたりするためには、まずは空が薪を集めてくるか、灯油を買いにいかなきゃいけないよね。
ええっ、空が薪を集めてくるの?
家族みんなで協力しないと、ご飯も食べられないよ。実際に、電気やガスが十分に使えない国や地域では、燃料を集める労力などがかかるから、子どもたちも働かされていることが問題になっている。他にも煙だらけの室内、灯油の悪臭などがさまざまな悪影響をもたらしているんだ。
問題は生活だけじゃない。電力を利用できていない人のほとんどは、途上国の農村部で暮らしているんだけど、それらの地域ではエネルギー不足によって生産や加工ができず、企業の生産性が落ちてしまう問題を抱えているよ。
電気がないから、ものをつくったり加工したりする作業が十分にできないってことか…。待って、スモール。そうしたら電気やガスなどのインフラが十分に整っていない地域の人たちは、働くことにも支障が出るから、他の国に比べて貧しくなるんじゃないかな。それって貧困にもつながっちゃうんじゃない?
そのとおり! インフラが整備されていないと経済も発展せず、貧困にもつながってしまうんだ。逆に言えば、インフラが整備されることで、効率よく生産をすることができたり、これまで売れなかった場所にものが売れるようになったりする。インフラを整備することが、経済成長にもつながるんだね。
なるほど~。インフラがどれだけ大事か、よくわかったよ。途上国のインフラを一気に整備できたらいいのになあ。やっぱりお金がかかるから無理ってことだよね…?
無理だと決めつけるのはまだ早いよ! ヒントは「イノベーション」。次回くわしく解説するね!
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己