「地球防衛隊SDGs」第55~58話解説編②「製造から廃棄までのCO2排出量を知りたい!」
ちょっとむずかしそうだけど、
環境 問題 の解決策 として期待 される「ライフサイクルアセスメント」
ねえ、スモール。リユースカップをコンビニで使用する場合、回収や洗浄、輸送が必要で、そのたびに二酸化炭素(CO2)を排出すると聞いて驚いたよ。空たちには、商品やサービスを「使う」「捨てる」というところしか見えないんだけど、実際には商品が生まれてから捨てられるまで、いろんな工程があるんだよね。
そうなんだよ。だから、真に環境に良い商品やサービスをつくろうと思ったら、原料の調達から廃棄・リサイクルに至るまでに、どれくらいCO2を排出しているのかを「見える化」する必要があるよね。
うーん、そんなことできるのかな?
その方法があるんだ! それが「ライフサイクルアセスメント」だよ。
■ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)とは?
商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至るまでの一連のライフサイクルにおける環境負荷を、定量的に算定するという手法。
ライフサイクルって、商品が生まれるところから、姿を消すまでの流れのことなんだね。
そのとおり。まずはそれぞれの工程でどれだけCO2を排出するかを計算する。そして、その合計で、商品やサービスの環境負荷を考えるんだ。
たとえば、2つの商品があったとするよね。
商品Aは、捨てるときの処理が大変で、そのときCO2を多く排出してしまうように見える。
商品Bは、リサイクルができて、処分の工程については商品AよりもCO2を排出しないように見える。
それだけ聞くと、商品Bのほうがエコな気がするけど……。
でもね、ライフサイクル全体で見るとどうかな? もしかしたら、商品BはつくるときにすごくCO2を排出しているかもしれない。その場合、合計してみたらCO2排出量はむしろ商品Bのほうが多い、なんてこともあるんだ。
そっか。ライフサイクル全体での環境負荷が見えるようになれば、本当に環境に良いものは何かがわかるようになるね! これが消費者にもわかるようになったら、環境に良いものを選んで買うこともできそう。
そういう取り組みが進んでいるんだよ。環境負荷が低い商品に環境ラベルを表示して、消費者が商品を選びやすくなる仕組みや、ライフサイクルアセスメントで算出したデータを商品に開示する「エコリーフ環境ラベル」という制度があるよ。
より環境負荷の少ない商品をみんなが選ぶようになったら、企業も「環境負荷をおさえた生産方法やサービス提供の方法を考えよう!」と取り組むようになるよね。空たち消費者にもできることがあるって、なんだかうれしい! さっそく「エコリーフ環境ラベル」について調べてみるよ!
環境問題に関する取り組みは、日々進化している。どんな新しい取り組みや考え方が生まれているのか、リサーチすることもSDGsにつながるはずだよ!
イラスト/奈良裕己
塚田智恵美
ライター/編集者。1988年、神奈川県横須賀生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。『進研ゼミ中学講座』の編集を経て、2016年に独立。教養・学問・ビジネス・教育コンテンツの分野で、雑誌・Web記事、書籍のライティングを行う。「ワクワクする」「素人でもわかる」「知らないことをまなびたくなる」言葉や図解、マンガ、物語、シナリオなどで表現するのが得意。文京区在住。お酒と料理が好き。