「地球防衛隊SDGs」第59話解説編「『グリーンウォッシュ』から教訓を学ぼう!」
ちょっとむずかしそうだけど、
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SDGsウォッシュをテーマにしたまんが第59話はコチラ!
SDGsウォッシュのもとになった「グリーンウォッシュ」。罰金 がある国 も
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ねえ、スモール。モジャ先生から「SDGsウォッシュ」という言葉を教えてもらって、びっくりしたよ。やってもいないのにSDGsの取り組みをアピールしたり、SDGs活動をしながらその裏ではSDGsに反することをしていたり……。実態がともなわないのに、都合良くSDGsを利用するのは良くないよね。
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そうだね。SDGsウォッシュと同じように、過去に「環境にやさしい」「地球にやさしい」とアピールしている一方で実態がともなわず、消費者に誤解を与える行為が問題になったことがあるんだ。
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SDGsウォッシュという言葉が生まれる前に?
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そう。1980年代半ば頃に「グリーンウォッシュ」という言葉が使われるようになったんだ。グリーンウォッシュとは、実態はちがうのに、環境に配慮しているように見せかけて環境意識の高い消費者に誤解を与えるようなことを指すよ。
1980年代には世界で、環境問題に対する関心が急速に高まっていた。それで「自然由来」「天然成分100%」などの、環境に良さそうなイメージを過剰に宣伝するような企業や商品があらわれたんだ。
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実際には環境にやさしいわけじゃない商品を、そんなふうに宣伝するのは商品を買う人をだましたり、誘導したりすることになるよね?
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そうなんだよ。消費者の気持ちが変わってきて、「環境に配慮している商品のほうを買いたい」「環境や人の体に良いものであれば、少し高くても買いたい」と思う人たちが増えてきたから、グリーンウォッシュのような問題が増えていったのだろうね。
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真剣に環境問題に取り組んでいる企業もたくさんあるはずなのに、なんだかひどいよ! どうにかグリーンウォッシュを防ぐことはできないのかな?
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世界ではさまざまな取り組みが行われているよ。
■フランスの事例
2021年8月の法改正で、グリーンウォッシュと見なされた広告には、広告費の最大80%が罰金として科されることになった。
参考:https://www.theworldlawgroup.com/news/advertising-and-the-environment-update-on-greenwashing-regulation
■イギリスの事例
2021年9月20日、イギリスの競争・市場庁(CMA)は、企業が環境対策を情報発信する際、その表現に関する指針を示したガイドライン「グリーン・クレーム・コード」を制定。指針に従うことで消費者に誤解を与える可能性が低くなる。また、このガイドラインに従わない場合、訴えられるリスクも高まる。
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グリーンウォッシュをすると罰金を払わなければいけなかったり訴えられたりする、となれば、実態をともなわないアピールは少なくなりそうだね! この考え方は、もしかしたらSDGsウォッシュにも活用できるのかも。
でもさ、スモール。国や法律といった大きな話ではなくて、空たち一般の消費者にできることはないのかなあ。
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おっ。いい視点だね。空が何かものを買うとき、グリーンウォッシュやSDGsウォッシュをしている商品を選ばないように、何か気をつけられることはないかな?
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うーんと、「エコ」とか「天然由来」とかの言葉があったらすぐに買う!……のではなくて、その言葉を裏づける客観的な評価があるか、企業が生産工程などの情報をちゃんと発信しているか、などをしっかり見て買うことかな。
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すばらしい! 消費者一人ひとりが意識を変えて、商品や企業を見極めていくのも、グリーンウォッシュやSDGsウォッシュを防ぐことにつながっていくはずだよ。
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うん! ……でも、地球防衛隊SDGsの活動をやっていく中で、もし空たちが気づかないうちにSDGsウォッシュをしてしまっていたら、どうすればいいのかな。
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次回以降、その問題についてじっくり考えてみよう!
イラスト/奈良裕己
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塚田智恵美
ライター/編集者。1988年、神奈川県横須賀生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。『進研ゼミ中学講座』の編集を経て、2016年に独立。教養・学問・ビジネス・教育コンテンツの分野で、雑誌・Web記事、書籍のライティングを行う。「ワクワクする」「素人でもわかる」「知らないことをまなびたくなる」言葉や図解、マンガ、物語、シナリオなどで表現するのが得意。文京区在住。お酒と料理が好き。