1986年4月26日、旧ソ連のウクライナ共和国にある「チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所」で大きな事故が起こった。このとき、原子炉の中で爆発が起こって、とても危険な放射性物質が外にまき散らされた。
放射性物質はまわりの地域を汚染しただけじゃなくて、風に乗って何百kmもはなれたヨーロッパの各地を汚染した。約8,000kmはなれた日本でも、野菜・水・母乳などから放射能が検出されたんだ。
この事故により多数の人が亡くなった。その影響はあとあとまで続き、1990年ごろからこどもたちの間で甲状腺ガンが急増するなど、今も後遺症に苦しんでいる人たちがいるんだ。
放射性物質は、何十年、何百年、ものによっては何万年たってもこわれないで、目に見えない毒を出しつづける。そのため、チョルノービリ発電所の近くに住んでいた人たちは、よその土地へ移り住まなければならなくなった。そういう人たちの数は何十万人にものぼるんだけど、しばらくして危険を承知で元の土地にもどってきた人もいる。この事故で放射性物質を浴びて、重い病気に苦しんでいる人もたくさんいる。これが原子力発電所の事故としてはいちばん大きなもの。日本では1999年、茨城県の東海村で死者二人を出す原子力事故が起きている。