1953年ごろから、熊本県の水俣湾を中心とした地域で、奇妙な病気があらわれはじめた。
最初は手足のしびれやいたみなどからはじまって、ひどくなると目が見えなくなったり手足がマヒしたりして、死ぬことも多い病気なんだ。この病気が水俣病だ。
水俣病を調査した熊本大学医学部は、その原因が有機水銀という毒であることをつきとめ、1959年に発表した。チッソという会社の工場がこの毒を海に流しつづけて、これが魚や貝の体にたまり、その魚や貝を食べた人がこの病気にかかってしまったんだ。ところが、国は1968年になるまで水俣病の原因を有機水銀とみとめなかったため、対策がおくれて病気にかかる人や死ぬ人がふえることになったんだ。新潟県の阿賀野川ぞいの地域でも、同じ病気があらわれて、こちらは新潟水俣病とよばれている。今も、水俣病に苦しんでいる人がおおぜいるんだ。