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しゃっくりが出るのはなぜ?

しゃっくりが出るのはなぜ?

こたえ:横隔膜(おうかくまく)急激(きゅうげき)収縮(しゅうしゅく)することで()きます。

(なん)(まえ)ぶれもなく「ひっく…ひっく…」と(はじ)まるしゃっくりは、()めたくても自分(じぶん)ではコントロールできないから(こま)りますね。あの「ひっく…ひっく…」という(おと)は、どこから()てくるのでしょう。

しゃっくりの(おと)は、(のど)声門(せいもん)1という場所(ばしょ)から()ています。(はい)(した)にある「横隔膜(おうかくまく)2という筋肉(きんにく)痙攣(けいれん)して(ちぢ)むと、(のど)両側(りょうがわ)にある声帯(せいたい)(きゅう)()じて空気(くうき)体内(たいない)(はい)れなくなり、ガクンと振動(しんどう)()きると同時(どうじ)に「ひっく」という(おと)()るのです1

しゃっくりの(たし)かな原因(げんいん)()かっていませんが、横隔膜(おうかくまく)などの呼吸(こきゅう)関連(かんれん)する筋肉(きんにく)をコントロールしている神経(しんけい)、または(のう)一部(いちぶ)刺激(しげき)されることが関係(かんけい)している、と(かんが)えられています。しゃっくりが()やすいのは、()(もの)(いそ)いでたくさん()べたときや、()(もの)一気(いっき)()んだとき、炭酸(たんさん)飲料(いんりょう)()んだとき、(あつ)いものや(から)いものを()べたときなど。大人(おとな)では、お(さけ)をたくさん()んだり、たばこを()ったりするのが、しゃっくりのきっかけになる場合(ばあい)もあるようです。これらに共通点(きょうつうてん)しているのは、(はや)(ふか)呼吸(こきゅう)などによって血液(けつえき)(ちゅう)二酸化炭素(にさんかたんそ)濃度(のうど)低下(ていか)しやすいことです。

たいていのしゃっくりは数分(すうふん)自然(しぜん)(おさ)まるので、(ほう)っておいても大丈夫(だいじょうぶ)ですが、たとえ短時間(たんじかん)でも、しゃっくりをしている(ひと)にとってはつらいもの。ですから、身近(みぢか)なものですぐに(なお)せる方法(ほうほう)(むかし)から試行錯誤(しこうさくご)してきたのでしょう。「こうすれば、しゃっくりは()まる」という民間(みんかん)療法(りょうほう)がたくさん(つた)わっています。たとえば「(おどろ)かせてもらう」や「(つめ)たい(みず)一気(いっき)()む」「(あたま)をかたむけてコップの反対(はんたい)(がわ)から(みず)()む」。ほかにも「(すこ)しの(あいだ)だけ(いき)()める」「(ゆび)(みみ)(せん)をする」「(した)をそっと()っぱる」などなど。どれか1つくらいは(ため)したことがあるのではないでしょうか。一時的(いちじてき)なしゃっくりは健康(けんこう)(ひと)でも()きますが、二日(ふつか)以上(いじょう)しゃっくりが(つづ)くときは病気(びょうき)のおそれがあるため、医師(いし)相談(そうだん)した(ほう)がよいそうです2)

たとえ短時間(たんじかん)のしゃっくりでも、そろそろ()まったかなと(おも)うとまた「ひっく…」と(はじ)まり、「一体(いったい)いつまで(つづ)くんだろう」と不安(ふあん)になることもあるでしょう。けれども世界(せかい)には、何年間(なんねんかん)もしゃっくりが()まらなかった(ひと)何人(なんにん)もいます。『ギネス世界(せかい)記録(きろく)』に“世界(せかい)最長(さいちょう)記録(きろく)”と認定(にんてい)されているのは、アメリカのチャールズ・オズボーンさんの68年間(ねんかん)毎分(まいふん)20~40(かい)速度(そくど)で68年間(ねんかん)出続(でつづ)けたそうですから、回数(かいすう)(やく)4(おく)3000(まん)(かい)推定(すいてい)されます。

しゃっくりが()るのは大人(おとな)()どもも一緒(いっしょ)。それとは(すこ)しちがう現象(げんしょう)ですが、じつは、おなかの(なか)にいる(あか)ちゃんもしゃっくりをしています。(むね)やおなかを「ひっく…ひっく…」と(うご)かす(あか)ちゃんのしゃっくりは、(なが)いときは30(ふん)くらい(つづ)くことも。個人差(こじんさ)がありますが、妊娠中期(にんしんちゅうき)後期(こうき)になると、お(かあ)さんにも「ぴくっぴくっ」と一定(いってい)のリズムで痙攣(けいれん)するのが(かん)じられます。

研究(けんきゅう)によると、(はや)ければ妊娠(にんしん)から9週目(しゅうめ)でも(あか)ちゃんはしゃっくりをするそうです3。そんな(ちい)さいのにしゃっくりなんて、(くる)しくないのかなと心配(しんぱい)になりますが、安心(あんしん)してください。これは()まれた(あと)上手(じょうず)呼吸(こきゅう)するための訓練(くんれん)だと(かんが)えられています。身近(みぢか)にもうすぐ()まれる(あか)ちゃんがいて、しゃっくりをしていたら、「がんばれ」と(こえ)をかけたくなりますね。

*1 声門(せいもん)左右(さゆう)声帯(せいたい)と、それらに(かこ)まれた空間(くうかん)声門(せいもん)といいます。左右(さゆう)声帯(せいたい)声門(せいもん)()(なか)接触(せっしょく)し、そこを空気(くうき)がすり()けていくときに、声帯(せいたい)粘膜(ねんまく)振動(しんどう)することで(こえ)()ます4

*2 横隔膜(おうかくまく)胸部(きょうぶ)腹部(ふくぶ)仕切(しき)る、ドーム(じょう)のうすい筋肉(きんにく)でできた(まく)で、呼吸(こきゅう)のときに重要(じゅうよう)役割(やくわり)()たします。横隔膜(おうかくまく)(ちぢ)んで(した)(うご)くと、胸腔(きょうくう)(ろっ(こつ)などで(かこ)まれた(むね)(なか)空間(くうかん))が(ひろ)がって(はい)がふくらみ、(はな)(くち)から空気(くうき)(なが)れこみます。横隔膜(おうかくまく)がゆるんで(うえ)(もど)ると、(はい)から空気(くうき)()()されます。

記事(きじ)公開(こうかい):2021(ねん)10(がつ)

参考(さんこう)資料(しりょう)

1)アレックス・フリスほか/(ぶん),フェデリコ・マリアーニほか/イラスト,竹内薫(たけうちかおる)/(やく)監修(かんしゅう).『人体(じんたい)について()っておくべき100のこと』.2017(ねん).小学館(しょうがくかん)

2)「しゃっくりは病気(びょうき)前兆(ぜんちょう)って本当(ほんとう)()まらないときは病院(びょういん)()くべき?」『Medicalook』:

https://epark.jp/medicalook/hiccup-sick/

3)「(あか)ちゃんのしゃっくり、呼吸(こきゅう)する能力(のうりょく)発達(はったつ)寄与(きよ)か 英研究(えいけんきゅう)」『CNN』.2019(ねん)11(がつ)14(にち)

https://www.cnn.co.jp/fringe/35145326.html

4)日本(にほん)耳鼻(じび)咽喉(いんこう)科学会(かがくかい)『「人生(じんせい)100(ねん)時代(じだい)」を()()くために かすれ(ごえ)放置(ほうち)すると(いのち)にかかわる!?』〔健康(けんこう)寿命(じゅみょう)への挑戦(ちょうせん) 機能(きのう)(まも)耳鼻(じび)咽喉科(いんこうか)〕:

http://www.jibika.or.jp/owned/healthy-aging/vocalization.php

監修者(かんしゅうしゃ)大山(おおやま)光晴(みつはる)

1957(ねん)東京都(とうきょうと)()まれ。東京(とうきょう)工業(こうぎょう)大学(だいがく)大学院(だいがくいん)修士(しゅうし)課程(かてい)修了(しゅうりょう)高等(こうとう)学校(がっこう)物理(ぶつり)教諭(きょうゆ)千葉県(ちばけん)教育(きょういく)委員会(いいんかい)指導(しどう)主事(しゅじ)千葉(ちば)県立(けんりつ)長生(ちょうせい)高等(こうとう)学校(がっこう)校長(こうちょう)(など)()て、現在(げんざい)秀明大学(しゅうめいだいがく)学校(がっこう)教師(きょうし)学部(がくぶ)教授(きょうじゅ)として「理数(りすう)探究(たんきゅう)」や「総合的(そうごうてき)学習(がくしゅう)時間(じかん)」の指導(しどう)方法(ほうほう)について講義(こうぎ)演習(えんしゅう)担当(たんとう)している。科学(かがく)実験(じっけん)教室(きょうしつ)やテレビの実験(じっけん)番組等(ばんぐみなど)への出演(しゅつえん)多数(たすう)千葉市(ちばし)科学館(かがくかん)プロジェクト・アドバイザー、日本(にほん)物理(ぶつり)教育(きょういく)学会(がっかい)常務(じょうむ)理事(りじ)日本(にほん)科学(かがく)教育(きょういく)学会(がっかい)(およ)日本(にほん)理科(りか)教育(きょういく)学会(がっかい)会員(かいいん)月刊(げっかん)理科(りか)教育(きょういく)編集(へんしゅう)委員(いいん)(など)(つと)める。

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