タコはどうしてすみをはくの
タコやイカは、すみをはくので
昔は、すみは、海の中に出るとパッと広がり、タコを食べようとするウツボなどの敵の目をくらませる働きをする、といわれていましたが、最近になり、そうではないことがわかってきました。なぜなら、実際にタコがすみをはくようすを見ると、タコが発射するすみは広がるのに時間がかかり、海の中をゆっくり広がっていくからです。
このことは、たとえば、洗面器に水を入れて、スポイトでインキをたらしてもわかります。インキは、なかなか広がりません。タコのすみも、これと同じで、とても敵の目をくらますほど、パッとは広がらないのです。すみが広がる前に、敵はゆうゆうと、タコをつかまえることができるはずです。
そうなると、どうしてタコは、敵にすみをはくのか、とてもふしぎです。じつは、タコのすみは、敵の目をくらますのではなく、敵の「鼻をくらます」ためのものだったのです。つまり、あのすみには、敵の鼻をしびれさせるしびれ薬が入っていて、タコがどこににげていったかわからなくする力があるのです。