多くの植物は、たねを鳥や動物などに運んでもらい、分布(:自分たちの生えるところ)を広げようとしています。
鳥や動物に、たねの入った実やたねそのものを食べてもらい、別のところでフンといっしょに出してもらうのです。そこでたねが芽を出し、大きく育ってまたたねをつければ、植物のねらいは成功です。
たねを鳥や動物に食べてもらうには、まず飲みこみやすくなければなりません。たねがヌルヌルしていれば、飲みこみやすいですね。ヌルヌルしていれば、くちばしや歯からつるりとすべって、かみくだかれることも少なくなります。口に入れると、そのままきずつくことなく、おなかの中に入るというわけです。
胃や腸の中に入ったたねは、食べ物を消化する「消化液」の中を通ります。たねが消化されると、とかされてしまうので、フンといっしょに生きたまま外に出てくることができません。それでは困りますね。つまり、たねをおおうヌルヌルしたものは、消化液からたねの本体を守る働きもしているのです。これに加えて、動物のおなかの中にいる間に芽を出さないように、発芽をおさえる働きもしていると考えられています。