絵の具の始まりは、赤や黒や黄色の土など色のついた「どろ」でした。
昔、ほらあなでくらしていた原始人は、かべにいろいろな絵をかき残しています。その絵をくわしく調べてみると、原始人がどろを使って絵をかいていたことがわかります。あるいは、もえ残った木の先の炭で黒い絵をかきました。自然の中には色のきれいな石や動物の殻があります。たとえば、貝の殻や卵の殻などがそうです。昔の人たちは、これらを細かくくだいて粉にして、それを油やにかわの液などでとかして使っていたのです。
今でも絵の具を売っている店に行くと、「岩絵の具」という自然の石を原料にしてつくられた絵の具も売っています。しかし、自然の中から色を見つけ出すといっても、すべての色があるわけではなく、見つけられない色もあります。その上、さがしだせる量もかぎられています。
そのような理由から、今、ほとんどの絵の具は、合成染料を油でこねてつくられているのです。合成染料というのは、石油を材料にしてつくった「色のもと」のことで、工場ではいろいろな薬を組み合わせてつくっています。これなら、あらゆる色を大量につくることができて、とても便利です。今は絵の具までも石油からつくられているのです。