まずかんたんな例から考えてみましょう。たとえば、わたしたちの目の前に、白や黒の石がたくさん置いてある碁盤があるとします。そして、あなたは、遠くの友達に電話をかけて、目の前の碁盤にどんなふうに白と黒の石がならんでいるかを説明するとしましょう。そこで石のならび方を電話で正確に説明できれば、遠くはなれた友達の家に、あなたの目の前の碁盤と同じように石がならんだ碁盤ができるはずです。
このとき、石のならび方をつたえるのに一番正確な方法は、「上から1番目、左から1番目の石は白。上から1番目、左から2番目の石は黒。上から1番目、左から3番目の石は黒。」というように、ひとつひとつの石の場所を説明してから、そこが白か黒かを言うことです。碁盤の上に石が100個あれば、これを100回言えばいいのです。
もし、目の前の碁盤で、白と黒の石を使って何かかんたんな絵がかいてあったなら、この方法で、その絵を友達の家に送ることができます。
白と黒の石をたくさん使って、碁盤の上に「あ」という字がかいてあったら、友達の家の碁盤の上にも、同じ「あ」という文字がかかれます。
じつは今のこの作業を、さらに細かく、より正確に、そして速く行うのがファックスという機械なのです。
ファックスはセットされた紙にかいてあるものを、すべて黒の点の集まりであると考えて、相手のファックスに、その点のある場所を知らせているのです。そうすると、その情報を受け取ったファックスは同じ場所に黒の点をかいていきます。すると、同じようなものができあがっていくのです。これで、遠くの人にファックスが送られたということになります。
送られたファックスの字をよく見てみると、字や線が、本当は小さな黒い点々の集まりでできていることがわかります。