じしゃくはどうして(鉄に)くっつくの
1本の棒磁石をまん中から半分におると、2つの棒磁石になります。この小さくなった棒磁石をまた半分におると、さらに小さな棒磁石ができます。このようにして棒磁石をどんどん細かくしていくと、細かく分かれた数だけ磁石ができるのです。砂つぶほどに細かくしても、砂つぶほどの磁石ができます。
そしてさらに細かく分けて、顕微鏡でも見えないほどまで小さくしていきましょう。すると、最後には、原子という小さなつぶになります。磁石の鉄は、たとえ原子になっても、磁石の力を持っています。
この原子というのは、まん中に「原子核」というものがあり、そのまわりを電子という小さなつぶが回転するしくみになっています。この電子の回転が、磁石の力を生み出しているのです。
鉄には、磁力のある鉄とない鉄があります。では、磁石になっていない鉄は、電子が回転していないのでしょうか。そうではありません。回転はしていても、磁石になっていない鉄では、この電子の回転する向きや軌道がばらばらなために、おたがいに力を打ち消しあってしまって磁石にならないのです。それに対して、磁石になった鉄では、電子の回転する方向などが、きれいにそろっているために、磁力はたがいに打ち消されることなく磁石になる、というわけなのです。鉄にはほかの金属よりも、電子の回転の方向がそろいやすいという性質があります。つまり、ほかの磁石にくっつくと、電子の動きがぴたっとそろってしまうのです。すると、その鉄もまた磁石になるというわけです。