人間の体温は、だいたい36度から37度です。一方の水は、温かい水と冷たい水がありますが、ふつう水道から出てくる水は体温よりずっと低い温度です。それで水が冷たく感じるわけなのです。
この理由を、熱のもつ性質から説明しましょう。
すべてのものには、どんなものにも必ず「熱のエネルギー」があります。たとえば、水の場合、熱を加えてこの熱エネルギーを大きくすると、温度が高くなり、お湯になります。逆に、熱をうばい、熱エネルギーを小さくしてしまうと、温度が低くなって氷になるのです。もちろん人間の体にも、この熱エネルギーは存在します。
この熱エネルギーは、温度の高い方から低い方へ流れるという性質があります。
たとえば、山の雪どけ水のようなものにさわったとします。そうすると、かなり冷たいと感じるはずです。これは、手の温度の36度と、その雪どけ水との温度の差が非常に大きいからなのです。手の熱エネルギーが、どんどん水の方にうばわれてしまうために、そこで「冷たい!」と感じるのです。
また、この逆の場合、手を熱いお湯に入れたときも、考え方は同じです。お湯の温度が手の温度よりも高い場合は、手を入れるとお湯の熱が手に伝わり、「熱い」となるわけです。
このように熱エネルギーは、必ず熱いものから低いものにうつっていく性質をもっています。逆に伝わることはありません。