ボール1つで、みんなで楽しめるスポーツ、ドッジボール。学校の休み時間の遊びとしても人気です。今回は、ドッジボールが苦手というみんなが、少しでも楽しめるようになるように、ドッジボールの投げ方、受け方、よけ方について、一番カンタンなコツを、2022年マルチドッジボール男子日本代表の吉川辰哉さんに聞きました。
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ボールの投げ方
1、2、3のリズムで、両手投げから
ボールを投げるのが苦手で「狙った方向にいかない」「勢いがない」という場合は、まず両手で投げることから始めましょう。
⓪投げる方向に対して横向きになる+ボールを腰の横で持つ
①ボールを後ろに引く+投げる方向に近い方の足を上げる
②上げた足を投げる方向に大きく踏み出す+ボールを持った手を投げる相手に向けて振リだす
③足先を投げる方向へ向ける+体をひねりながらボールを投げる
項目①、②、③を、そのまま「1、2、3」のリズムで練習をしましょう。
ポイント
・投げた手のひらを、投げる相手へ向けるようにすると、狙った方向へ投げられます。
・腕は大きく振ると、遠心力という力で、勢いのあるボールが投げられます。
・ボールを下にたたきつけないように、投げ終わりで体が前に倒れないように気をつけましょう。
両手投げでコツをつかんだあと、もっと勢いのあるボールを投げたいと思ったら、片手投げに挑戦してみましょう。片手で投げる場合、手が小さくてボールをにぎれなくても大丈夫です。ボールはにぎらずに、手のひらに乗せるようにします。ボールを後ろに引くときに、ボールを乗せてない手を、投げる方向へ斜めに上げるようにすると、体全体を使ってボールを投げられます。もっと手のひらが小さくてボールを安定して乗せることもできないときは、手首をカマのように曲げて、はさんで投げましょう。どちらのときも、最後は手のひらを投げる相手へ向けるようにしましょう。
ボールの受け方
ボールの勢いをなくすカエルキャッチ
飛んでくるボールを落とさずに受けるには、ボールの勢いを、自分の体でうまく吸収することが大事です。
ポイント
・腕は脇を締めましょう。
・両方の手のひらは顔を洗うときのようにして、そろえて広げましょう。
・腕と体でボールを包むようにして取りましょう。
ボールを受けるのが苦手な場合は、カエルキャッチの練習がオススメです。
⓪まっすぐ立って、ボールをおなかの前で両手で持つ
①ボールを上に投げる
③ボールが落ちてくるのに合わせてしゃがみ込む
④しゃがみきったところでボールをキャッチする
体全体を使って、ボールの勢いをなくすことに挑戦しましょう。
ボールのよけ方
右手で投げられボールは「えび」になって左へ
ボールのよけ方のキホンを紹介します。
ボールのよけ方は、飛んでくるボールの高さごとにあります。それぞれシンプルなので、さっと体が動くようになれば効果的です。
・顔や胸の高さに飛んでくる上のボールは、しゃがみましょう。
ポイント
・ボールをしっかり目で見てよけるために、顔は下を向けないようにしましょう。
・足元に飛んでくる下のボールは、ジャンプしてよけましょう。
ポイント
・ジャンプしたときに足を広げると、もっと当たりにくくなります。
・おなかの高さに飛んでくる中くらいのボールは、横向きになって「えび」のように細くなりましょう。
ポイント
・正面よりも横を向いた方が、飛んでくるボールに対して面積が小さくなって、当たりにくくなります。
・相手が右手で投げてくるときは自分は左側へ、相手が左手で投げてくるときは自分は右側へ動きながら横向きになると、強いボールが飛んできにくく、よけやすいです。
・横を向いて「えび」のようになるよけ方は、上のボールや下のボールもよけられることが多く、役立ちます。
ドッジボールのヒーローは、だれでもなれる
ドッジボールの「ドッジ」は、「かわす、よける」という意味の英語です。ゲームの勝ち負けは、最後にコート内に残っている人数で決まるように、ドッジボールは「ボールをよける」スポーツです! ボールを相手に当てたり、うまくキャッチしたりするのもかっこいいですが、よけてよけて最後までコートに残っているのもヒーローです。
ボールを「投げる」「受ける」は、むずかしい体の動かし方がもとめられます。それに比べると、ボールを「よける」動きはシンプルで、みんなが身につけやすいです。つまり、みんながヒーローになれるということです。「投げる」「受ける」「よける」のうち1つでも、自分に向いた方法を見つけて、ぜひ楽しんで取り組んでみてください。
監修:吉川辰哉
2022年マルチドッジボール男子日本代表、12月エジプトワールドカップ出場。
一般財団法人日本ドッジボール協会普及委員・国際強化委員、JDBAドッジアドバイザー講師。小学生ドッジボールチーム「滋賀県甲賀流忍者SASUKE」代表。スポーツインストラクター、総合型スポーツクラブ「甲賀流忍者YOSHIKAWA」代表。