「地球防衛隊SDGs」第30・31話解説編「他人事じゃない! 日本の貧困問題」
ちょっとむずかしそうだけど、
なかなか相談 できない「子 どもの貧困 」、支援 の手 が届 きにくい実情 も
ねえ、スモール。
日本の貧困率が高いって話、ビックリしたよ。もし空が一人で暮らしていて「1か月に生活するお金が足りない」っていう状況になったら……、想像するだけでこわくなっちゃう。ママたちにも頼れなかったら、「今月、家賃や電気代が払えないかも…」って心配になったり、食事にかけるお金を減らしたりしなきゃいけないよね。
そうだね。
ある国や地域の生活水準のなかで比べて、大多数よりも貧しい状態にあることを「相対的貧困」っていうんだ。日本の水準で考えてみると、一人暮らしの場合では1か月を約10万円以下で生活している人は「相対的貧困」に陥っていることになる。
日本の場合は、6~7人に1人が、この「相対的貧困」の状態にあたる、ということだね(※)。
6~7人に1人か…。
日本は、先進国のなかでは子どもの貧困率も高いんだよね…。
…あれ? そういえば「子どもの貧困」ってどういうことだろう。家賃とかは親が払うものなんだから、子どもは関係ないんじゃない?
「子どもは関係ない」ということはないよ。たとえば、働く親のかわりに家事をすべてやらなければいけない子どもや、お金がないから十分に毎日の食事がとれない子どももいる。高校生くらいになると、自分が家計を支えようと毎日アルバイトをしている子もいるんだよ。
えええっ、好きなものを買うんじゃなくて、自分や家族の生活費を稼ぐためにアルバイトをする、ってこと?
そうだよ。また、貧困の家庭では、金銭的な理由で高校や大学への進学を断念する子どもも多いんだ。
ちょっとまって! 教育が受けられないと貧困につながってしまうこともあるんだよね。これじゃ負のスパイラルが生まれちゃうよ。。
いい気づきだね! 親の貧困が原因で、子どもに貧困が連鎖してしまう危険性もある。
もちろん、貧困の原因はこれだけじゃないよ。たとえば災害や事故、病気で親が亡くなったり、何かの事情で働けなくなったり離別したりすることは、誰にでも起こりうることだよね。でも、そういう出来事がきっかけで、一気に貧困状態に陥ってしまう可能性もあるんだ。
もし空のパパやママが働けなくなって、貧困状態になってしまったら…。「なんで自分だけ、ご飯や欲しいものをガマンしなきゃいけないの?」って思っちゃいそう。友達にも言いにくいし、誰にも相談できないかもしれない…。
そうだよね。だから子どもの貧困は、学校の先生や近所の人がなかなか気づかず、支援の手が届きにくい問題もあるんだ。
「貧困は、他人事じゃない」っていう意味が、よくわかったよ。
難しい問題だけど、誰にでも起こりうることだからこそ、みんなで助け合っていかなきゃいけないね!
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己