「地球防衛隊SDGs」第32・33話解説編「世界の貧困を解決するためにできること」
ちょっとむずかしそうだけど、
衣食住 がままならない「絶対的 貧困 」。途上国 だけの問題 にしないために
ねえ、スモール。
今日ママに買ってもらったお菓子の値段を聞いたら、220円だったんだ。
いつもなら何も考えずに食べていたけれど、「世界には、1日を約216円未満で過ごさなきゃいけない人たちがいる」ってことを思い出して、なんだか心が苦しくなったよ。本当に深刻な問題だよね。
そうだね。
この間話した「相対的貧困」とはちがって「絶対的貧困」という考え方がある。「絶対的貧困」とは、食べ物がない、家がない、安全な水が飲めないなど、人間としての最低必要条件の生活水準が満たされていない状態を指すよ。
2017年時点で絶対的貧困に当たる人々は、全世界で6億8900万人いる(※)と推定されているんだ。
※World Bank(世界銀行)「September 2020 global poverty update from the World Bank: New annual poverty estimates using the revised 2011 PPPs」を参照
空はお菓子も食べられるのに、世界では「生きていく上で最低限必要なものが手に入るかもわからない」人たちがたくさんいる……。これって不平等…だよね……。途上国の人たちだけじゃなくて、地球のみんなで解決しなきゃいけない問題だよ。
さすが空!
だからSDGsでは「1貧困をなくそう」という目標が掲げられているんだ。そして、この目標を達成するため、2030年までに「極度の貧困(生きるために必要な食糧すら手に入れられないほどの貧困)」を終わらせることを目指しているんだよ。
2030年…。空たちにもできることをしたいな。企業などを通じて、使わなくなった服などを途上国に送ることができるんだよね?
そう! 貧困の問題を解決するために、さまざまな企業が取り組みを行っているんだ。
たとえばこんな取り組みをしている企業があるよ。
■株式会社ユニクロ
すべてのユニクロの商品をリサイクル、リユースする「RE.UNIQLO」の中で衣料支援もしている。服のリサイクル活動で集められた服を、難民キャンプ(※)などに送る活動。
※難民キャンプ:紛争などによって避難生活を強いられている人たちが暮らす場所。
■株式会社そごう・西武
西武・そごうの対象店舗で「こども靴下取りサービス」を行っている。経済的なゆとりがない国では、靴をはけずに生活している子どもたちがいる。使用しなくなったこども靴を、アフリカのザンビア共和国に送る活動。
※こども靴下取りサービスについて楽しく紹介された紙芝居動画もあるからぜひチェックしてみてね!(紙芝居の作者は「地球防衛隊SDGs」の奈良裕己さん)
すごい! これなら空たちも協力できそう!
先進国の人たちが使わないものを一方的に送るんじゃなくて、実際に現地で求められているものを知って、役に立つものを送ることが大事だね。服や靴は、きっと役に立つんじゃないかな。
そのとおり! ほかにもさまざまな企業や団体が取り組みを行っているから、調べて、自分が協力しやすい方法を選ぶといいね。
貧困は、さまざまなほかの問題にもつながるから、あきらめずにみんなで解決に向けて取り組んでいこう。できることから始めてみるよ!
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己