「地球防衛隊SDGs」第35・36話解説編「ゴミ問題だけじゃない、都市への人口集中がもらたす問題」
ちょっとむずかしそうだけど、
ゴミ問題 は「海洋 汚染 」「児童 労働 」にもつながっている?
ねえ、スモール。
ゴミ処理の問題って、日本だけじゃなくて世界の都市で起きているんだね。空は、収集日にゴミを捨てれば回収されて、処理してもらえるのが当たり前だと思ってた…。
埋立地には限りがあるから、燃やせないゴミをただ埋め立てていくだけでは、必ず限界がくるよね。だから今、処理するゴミの量を減らすために、さまざまな工夫が求められているんだ。
他の国に送ってゴミを処理してもらうのも、もう限界…だもんね……。
あれ? たしか他の国に送っていたのってプラスチックのゴミだよね? リサイクルできるものを送っていたはずなのに、なにが問題になったんだろう?
日本などから送っていたプラスチックのゴミには、きれいに洗わないとリサイクルできないものや、リサイクルできない種類のプラスチックも混ざっていたんだ。その仕分けや洗浄をするために、低い賃金で働く人たちが必要で、その中には子どもたちもいたと言われている。
ええーっ! それ、児童労働の問題じゃん!
そして、仕分け後のリサイクルできないプラスチックや、残りかすが、川や海に流されていた。それを魚たちが食べてしまったら…?
それ知ってる!人間の健康にも悪影響がある、海洋汚染だ!
そう。そうした健康被害が深刻になってきたから、今、さまざまな国でゴミの輸入の禁止が進んでいるってことなんだ。
どこかの国の人に押しつけるんじゃなくて、そもそもゴミが多すぎるってことをちゃんと考えなきゃいけないと思う…。
そういえば、モジャ先生は「都市への人口集中」が、ゴミ問題や他のさまざまな問題を引き起こしている、って言ってたね。
そうだね。都市部に人が集中すると、こんな問題が起きてしまう。
■都市部への人口集中が引き起こす問題
・住む場所が不足するので、家賃が高くなる
・車などの乗り物を使うので、交通渋滞、騒音、大気汚染が起きる
・人が多いので、大量のゴミが排出される
・都市部の中で経済格差が生まれ、貧しい人たちが暮らす「スラム街」ができて、犯罪が生まれる原因のひとつになる
こうした問題が深刻になると、都市部が抱える負担を取り除かなければいけなくなるよね。実際に、その計画を立てて、話し合っている国もあるんだ。
その例がインドネシア。これまでインドネシアでは、首都のジャカルタに人口が過剰に集中してしまい、大気汚染や交通渋滞などが深刻な問題になっていた。そうした問題を解決するために、1月に「首都をジャカルタから別の場所へ移転する」法案が国会で可決されて、話題になっているよ。
たくさんの人が一箇所に集まりすぎてしまうと、問題が起きるんだね…! ゴミ問題だけじゃなくて、みんなが住むまちのことから考えなきゃいけないのかも。
そうだね。たとえば多くの人や建物が一箇所に集まっていて、そこに自然災害が起きてしまったら…? 次回もっと考えてみよう!
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己