「地球防衛隊SDGs」第55~58話解説編「リユースカップは本当にエコ?」
ちょっとむずかしそうだけど、
見 えていない工程 で二酸化 炭素 (CO2)を排出 している?
ねえ、スモール。一生懸命準備してきたリユースカップを「SDGsじゃない」って言われて、ショックだったよ。だって、使い捨てじゃなくて再使用やリサイクルなどを進めることが大事だと学んできたから。
それは「4R」の考え方だね!
■廃棄物を減らすための「4R」
リデュース(Reduce)ゴミを少なくする
リユース(Reuse)再使用する
リサイクル(Recycle)再生利用する
リフューズ(Refuse)ゴミになるものを断る
「4R」はゴミを減らすために大事な取り組みだよ。空たちは今回、リユースカップを使って、使い捨てカップのゴミを減らそうとしたんだよね。うまくいかなかったのはなぜだと思う?
数回使っただけでロゴが剥げて使えなくなっちゃったから……。繰り返し使えるものじゃないと、結局ゴミを増やすことになっちゃうんだよね。
そう。再使用するためには、繰り返し使用できる耐久性や、季節や年に関係なく使えるデザインなどが必要だね。
でも、問題はそれだけじゃないんだ。たとえば、使い捨ての紙カップと、耐久性のあるしっかりしたプラスチック製のリユースカップ、どちらのほうがつくるのに多くCO2を排出すると思う?
う~ん、リユースカップのほうかな。石油からつくられるプラスチックは、製造に多くのCO2を排出するって勉強したし!
よく勉強してるね。前提条件にもよるから一概には言えないんだけど、耐久性のあるしっかりしたプラスチック製のリユースカップのほうがCO2排出量は多くなる傾向にある。
ほかにも、リユースカップは毎回洗って使うよね。その洗浄でもCO2を排出しているんじゃないかな?
えっ。洗うときも?
……そうか、衛生面に配慮するとお湯を使って洗う必要があるから、そのときにエネルギーを使ってCO2を排出してる!
そうなんだ。製造や、繰り返し使うための工程など、見えないところで実はCO2を排出しているんだよ。
それなら繰り返し使えないと、全然エコじゃないよね……。スモールも「繰り返し100回以上使うことで、使い捨てカップ1回当たりのCO2排出量と同等になるというデータもある」って言ってたもんね。
一見環境に良さそうに見えても、SDGsのためになっていない取り組みがあるっていうことか……。今回はリユースカップを発注するときに、長く使える耐久性やデザインになっているか、もっと調べたり考えたりしなくちゃいけなかったんだね。
でも、スモール。空たちに見えないところでCO2を排出してるって言われても、なんだか難しく感じちゃうよ。
そうだよね。ヒントになるような考え方があるんだ。それを次回紹介するよ!
イラスト/奈良裕己
塚田智恵美
ライター/編集者。1988年、神奈川県横須賀生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。『進研ゼミ中学講座』の編集を経て、2016年に独立。教養・学問・ビジネス・教育コンテンツの分野で、雑誌・Web記事、書籍のライティングを行う。「ワクワクする」「素人でもわかる」「知らないことをまなびたくなる」言葉や図解、マンガ、物語、シナリオなどで表現するのが得意。文京区在住。お酒と料理が好き。