「地球防衛隊SDGs」第60話解説編「批判にも真摯に向き合い、SDGsに取り組もう!」
ちょっとむずかしそうだけど、
「本当のSDGsのためにすべきこと」をテーマにしたまんが第60話はコチラ!
使用 する場所 の「環境 」も、原料 の生産 地 の「環境 」も考 えた取 り組 み
ねえ、スモール。「一生懸命SDGsに取り組んでも、間違いを指摘されるかも……」と不安になっていたんだけど、スモールが紹介してくれた事例を聞いて、なんだか勇気が湧いてきたよ!
サラヤの「ヤシノミ洗剤」にまつわる取り組みだね!
植物由来の原料を使って、環境にやさしい商品をつくっていたはずなのに、想像もしていなかった批判を受けたんだよね?
そう。「ヤシノミ洗剤」の原料の一つとしても使われてるパーム油は、全体の85%が食用。残り15%が工業用に使われているんだ。
そのパーム油の世界的な需要の増加を受けて、生産地である東南アジアでは熱帯雨林の破壊などの問題が起きていたんだ。
水質汚染を防ぐことにつながる、環境にやさしい商品という一面もありながら、一方で原料調達という面では思わぬ環境問題につながっていた……ってことか。
でも、パーム油は主に食用で、パーム油を使った洗剤は「ヤシノミ洗剤」だけじゃないんだよね? サラヤだけが批判を受けるのはおかしいと思うけど……。
そう考えることもできるよね。でも、批判を真摯に受け止めて、現地調査を行ったサラヤの人たちはすごいと思うんだ。そしてパーム油の産業で生計を立てている現地の人たちのことも考えて、「パーム油を使わない」という選択ではなく、野生生物や森を守りながら共存していくための活動を開始したんだ。
それが「ボルネオ環境保全プロジェクト」。パーム油の主要生産国である、マレーシア・ボルネオ島の環境保全に取り組んでいるんだって。
その取り組みのひとつが「緑の回廊プロジェクト」なんだ。
森が失われた箇所を再生し、分断された熱帯雨林を結ぶことで、ゾウなど野生動物が通れるようにしたんだよね!
そうそう。「緑の回廊プロジェクト」の他にも、こんな活動をしているそうだよ。
■命の吊り橋プロジェクト
農園の拡大によって森が分断されたことで、食糧確保や繁殖の機会が失われ、オランウータンが絶滅の危機に瀕している。そこで、森と森の間に橋をつくることで、オランウータンの命をつなぐ試み。
■野生動物の救出プロジェクト
農園の拡大によって生息地を追われた野生のゾウやオラウータンを救出して治療や保護して、森へ返す試み。
※「ボルネオ環境保全プロジェクト」の詳細はこちら
環境を保全し、オランウータンやゾウの命が失われないようにさまざまな活動をしているんだね! すごいなあ! 空たちも批判にめげてあきらめるのではなく、起きていることをちゃんと調べて、よりSDGsにつながる選択肢を模索していきたい!
でもさ……、スモール。なんだか難しいよね。ある面では「環境にやさしい」と言えるものが、別の面から見ると「環境によくない」と言われてしまうって。
そうだね。こうしたジレンマは、実はいろんなところで起きているんだ。次回、もう少し深く考えてみよう!
イラスト/奈良裕己
塚田智恵美
ライター/編集者。1988年、神奈川県横須賀生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。『進研ゼミ中学講座』の編集を経て、2016年に独立。教養・学問・ビジネス・教育コンテンツの分野で、雑誌・Web記事、書籍のライティングを行う。「ワクワクする」「素人でもわかる」「知らないことをまなびたくなる」言葉や図解、マンガ、物語、シナリオなどで表現するのが得意。文京区在住。お酒と料理が好き。